血翼王亡命譚3 / 新八角

1巻を読んだ時にはちょいちょい引っかかるところがあって、この設定でこのストーリーであればこんなものじゃなくてもっと面白くなるはずと思って、2巻になってそれがずっと良くなって、3巻に来たら凄いものに昇華してきたなあと。
400ページに本来2巻3巻かけるような内容をぎゅっと濃縮したこれでもかという密度の高さと、最初から最後まで落ちないテンション、ぶつかり合うキャラクターたちの痛いくらいの想いに、始まりの王にまで時空を超える大きな物語、けれどあくまでもこれは王の傍らに立つ者であるユウファという護武官の物語で。言血を始めとする独特の世界観の中で、国とは、人間とはという大きなテーマと、その中で語られるユウファという一人の人間の物語が1巻、2巻のストーリーも含めて一つにまとまっていくのが素晴らしかったです。
決してスマートではなくて、荒っぽい作品だとは思うのですが、ダイナミックな展開の魅力と共に、斬りつけるような感情の強さがあったと思います。そこにいるキャラクターたちに強さ、圧があるというか、説得力があった、みたいな。どのキャラクターも魅力的だったし、とても面白かったです。

上坂すみれのひとり相撲2016 〜サイケデリック巡業〜 @ 両国国技館

生産! 団結! 半抑圧!! ура!!!
散々ライブに行きまくった2016年ですが、年の瀬にまたとんでもない怪演に出会ってしまったという気分でいっぱいです。とりあえずすみぺの次の大きなライブは絶対に行こうと思ったライブでした。いや、これは面白い。
毎度すみぺのイベントレポの意味不明さに言及する度に、同志の人々からありのままだと言われて頭に疑問符を浮かべていた訳ですが、うん、そのまんま書いたらああなるんですねよく分かった。とにもかくにも、見たことがない人やフェスでしかすみぺを見たことがない人は、欠片でも興味があるなら単独現場足を運ぶことをオススメします。見なきゃわからないし決して見て損はないですから。
まずひとり相撲というライブタイトルがおかしいのは置いておいて、始まったと思ったら長机に実況と解説が座っていて見どころのコメントを始めるんですよ。配置的にはプロレスのあれ。というかプロレスですよね、すみぺvsプロデューサーのアングルの入れ方が完全に。そして楽屋中継から煽りVTR、明けるとリングアナがセンターステージにいて呼び込みと共にレスラー引き連れたすみぺがズブロッカ片手に花道から登場。さらにプロデューサーと小競り合いを繰り広げて伏線回収。
まあ、ひとまず自分は一体何を見に来たのかと我が身を疑いますよね。まだ一曲も歌ってないですからね、ここまで。そもそも若手女性声優のライブで繰り広げられる光景じゃないですよね。この辺でライブを見に来たという先入観は完全に捨てましたが、ここからはしばらくきっちりとライブ。楽曲のサブカル路線を走りながらのメジャー感が独特で面白いです。エレガと人間椅子の曲が連続して披露されるライブってなんだ。
そんなこんなで終盤、ようやく慣れてきて落ち着きを取り戻したと思ったところで、国技館に響き渡る拍子木の音。なんか聞いたことのある声のアナウンスが「西方土俵入りであります」と。そこそこ良い体格をされたどすこいダンサーズの皆さまが、センターステージを土俵に見立てて土俵入りをはじめました。まわし締めて一人ずつ土俵に上がって名前を呼ばれて丸く並んで最後に振りがあるあれです。NHKの相撲中継で十両の取り組みが終わった後に見られるガチのやつです。女性声優のライブを見に来たはずが、太ったおっさんたちが国技館でなんちゃって土俵入りをする様を見ていました。……まるで意味がわからない。
そんなこともありつつ、エアリアルダンサーが宙を舞ったり、ダンサーズの衣装は何度も変わるし豪華だし、炎は上がるし、どすこいダンサーズは大量にいるしで、演出は全体通してめっちゃ豪華でした。……豪華だけど信じられない絵面が眼前に広がるのあれなんですかね。アンコールのエアリアルダンサーが宙を舞いの、太ももセクシー衣装+ライブTシャツなダンサーたちが舞い踊りの、大量のどすこいダンサーズが相撲の動作を取り入れた動きを見せつつの、ミニスカサンタ風衣装のすみペが真ん中にいての、会場全体で「むろみーーー!!!」と叫ぶあの空間はマジで異空間だった。あとアンコールのコールが「取り直し!」だった。初めてだよそんなの。
アニゲラというか杉田智和プロデュースの転換中のVTRにしても、時事ネタからオタクネタ、他の声優いじりネタまで盛りだくさんのすみぺのMCにしても、とにかく己のセンスを信じてこれが行く道なんだよと見せつけるような感じのライブだったと思います。上坂すみれという人は歌が上手い人だとは思っていなかったし、曲もそんなに好きな訳ではなかったのだけど、これはそういう問題のものではない。ついでに言えば声優であることすら関係ない。共産趣味の中野系サブカルがバックボーンでオタクシーンの最前線を走り内向的後ろ向きだけどこんなステージに立っちゃう独自のキャラクターを持って、上坂すみれとそのプロデュースチームが作りあげた一つの表現なんだろうなと思います。
メジャーでサブカルでオタクで文化系でフィジカル系で豪華だけどどこかアングラで、色々なものがごっちゃになった上で本人のキャラまで含めて奇跡的なバランスで成り立っているこの感じ。変人たちが真っ向勝負で作り上げる本気の茶番っていうか、そういうものが両国国技館という割と大きな会場でお祭り感のある一大エンターテインメントとして昇華されているのは、素直に凄いと感心しました。
あとすみぺがですね、可愛いですね、うん。改めて単純に美人だっていうのもありますが、凄く近いんだけど一線は引いた感じのファンへの距離感の取り方とか、後ろ向きなんだけど前には進んでる感じとか、ああこれは推す人が出る訳だなと。最後の最後の「本当は可愛いって言われたい!」まで、なんというかこう、文化系的なというか、いい意味でオタサーの姫の一番強いやつ的な魅力に溢れておりました。

魔法少女育成計画 QUEENS / 遠藤浅蜊

順調に生存者が減っていき魔法少女になんかされた瞬間もうあかんかったんや……感が止まらないアニメのまほいくも大概にクソみたいな話をやっておりますが、原作最新刊はまたスケールのでっかいクソみたいな話ですね!!! しかし恐らくこれまでのシリーズで話としては一番面白かった。

一応以下ネタバレありで。


という訳でJOKERS、ACESからの三部作完結編。広げに広げた風呂敷をどう畳むのかと思っていましたが、なるほどこう畳みつつ畳まないところは何も畳まず、そして多くの問題は何も解決しないのかっていう。オスク派vsプク派の実質的に存亡をかけた戦争に独自の思惑で関わる人達、裏で暗躍する人たち。正面からぶつかる魔法少女たちの闘いは多くは語られないものの過去最大数の死体を積み上げる凄惨なもので、そのくせ戦場では可愛らしく歌い踊るプク様の映像が流されまくってて何だこれ。まあ、洗脳兵器なのですが。
あらゆる勢力の思惑が入り乱れ、それが最低に胸糞悪いストーリーを描き出すのですが、こうなってしまって魔法の国はどうなるのか。正直もう破滅の未来しか見えていないんですけど。そしてその未来の中で、フレデリカや暗躍するラピス・ラズリーヌ、まだ健在だろうカスパ派、そして生き残ってしまった彼女たちが何をしていくのかが楽しみにはなれないですが気になります。このシリーズ、意味もなく報われることもなく人が死ぬと思っていたのですが、本人にとっては無意味であっても、残された者たちを呪いのように縛る死を遂げる魔法少女多いですよね……と生き残った面々を見て本当に。
しかしまあ今回最大の見所はラストのプフレとシャドウゲールの最期でしょう。プレミアム幸子の契約書は契約者に最高の幸運をもたらすと引き換えに最大の不幸を運ぶ、だから最高強度で洗脳されたシャドウゲールにとって最大の不幸は「プク様の死亡」と踏んで、ギリギリの状況でプフレは賭けに出た。でも、野心家で陰謀家の人小路庚江という人は、全てを投げ打ってまで魚山護という1人の人間を助けたいと思いながら、彼女が自分に対してどういう気持ちでいるのかが読めなかったのだと思います。魔法が導いた答えは「プク様の死、及び洗脳されたシャドウゲールがプク様を庇ってプフレを手に掛ける」というもの。そしてそれが魚山護にとっての最大の不幸。
逆に従者として人小路庚江に振り回され続けた魚山護は、彼女を危険の中に置きたくなくて彼女の記憶を隠すという主人への反抗を行った訳ですが、色々なものを踏み潰してでも己の野心を実現させてきた人小路庚江という人が、全てのチップを賭けてでも自分を救いにくることだけを目的とする未来があるなんて思ってもいなかったのでしょう。誰よりもお互いを大事に思って、それでも互いに相手がそう思っているとは思い至らなかった。少し自分勝手すぎた二人の関係の最期は、失われた彼女にとっても、生き残ってしまった彼女にとっても、決して望むものではなかった、悲しい結末だとは思いますが、何故だかとても美しい悲劇だと感じました。
プクプックの魔法については、魅了というか最早洗脳の域に近いもので、本人もその作用は分かっていながらそれを「お友だちになる」ことだと捉えて最後まで疑わず、魔法の国のため、お友だちのためを想って最期まで動いていたのがとんでもなかったです。純粋が故の邪悪という意味ではスイムスイムと同系統なのですが、三賢人の現身、ちょっとそのスケールが違いすぎる。そして精神的に追い詰められたスノーホワイトが洗脳されて魔法を使ってくれてありがとうというシーン、自ら洗脳したスノーホワイトの遊びを省いた的確な進言に心酔していくプクプックという構図がヤバい。自ら洗脳しておいて、その相手に心酔するって自家中毒にもほどが……。
あとグリムハートが捕らえられたオスク派を率いたレーテさんがただ偉そうなだけの無能かと思ったら、立派な指揮官過ぎて見誤っておりましたと。ただ偉そうなんじゃなくて偉いから偉そうなんだこの人。
群像劇の色合いが強まってもう誰が主人公だかわからないのですが、ちょっと今回でも死ぬんじゃないかと思って読んでいた主人公のはずの魔法少女狩りさんについては、本当にどこかで退場してしまいそうな気配が。今やっているアニメのあの惨劇から始まった魔法少女としての彼女の物語が、ここまで引っ張った上で何も報われること無く閉じるのはあまりにも虚しく、でもそれをやってきそうなこのシリーズだから怖いものがあると思いました。

GOSICK GREEN / 桜庭一樹

GOSICK GREEN

GOSICK GREEN

「わたしは普通の人間になりたいのだ。いつの日か、このわたしも普通になれたらそれが幸福だ。しかし遠い道のりである」
「……でも君は君だよ」

「そうだとも。わたしはいま善意の話をしたのだ。悪いかね……。貧しい、なにもない。お金にできるような取柄もなく。でもこの新しい世界でわたしたちみんな生きのびようとしてるのだ。それなのに、貴様が……」

私たちの愛した旧世界の、オカルト的な、恐ろしい灰色狼はもうどこにもいない。けれど、小さなグレイウルフは確かに、新しく騒がしい世界で、薬物中毒の後遺症と貧しさの中でも、人間として彼とともに生きていこうとしてるんだと、読んでいる最中に痛いくらいに伝わってくる一冊でした。
久城がいたから彼女は変わった。旧世界、非日常の象徴だった彼女は、強大な頭脳はあれど、普通に生活していくにはあまりに弱く、そもそも普通に暮らすことがどういうことかも知らず。それでも、久城がいるから、彼女は生きていく。そして、ヴィクトリカがいたから久城はここまできた。相変わらず出会ったばかりかのような初心な二人のやり取りの中に、時折垣間見える共に修羅場を生き抜いてきたからこその絆の重みが生々しいくらいに際立って、ゾワッとします。
そして彼女の書いた手紙。久城が書いたように、彼女も手紙を書くのならば、その相手は1人しかいなくて、でも昔の彼女であればそんなことは絶対にしなかった。だから、それは開かれた未来の扉の先。書き方もわからない不器用なたった一言が、Lady Vからの手紙として旧大陸に渡る時、10年以上もこのシリーズを追いかけて来て本当に良かったと思いました。だってもう彼の反応を見たら泣くしかないじゃないですか。
このシリーズは毎年のご褒美で、ボーナスステージくらいに思って読んでいましたが、違うんだなと。新シリーズの中ではお話としても一番面白かったですが、それ以上に、彼と彼女には未来がなくてはいけないんだと、そのためにこのシリーズは無くてはならないのだと、改めて感じた一冊でした。素晴らしかったです。

BanG Dream! Second☆LIVE Starrin' PARTY! 11/13 @ TOKYO DOME CITY HALL

1stライブよりもアニサマは上手くなっていて、アニサマよりも2ndライブは上手くなっていた。特に披露回数の多い「Yes! BanG_Dream!」は完成度がめっちゃ上がっていたし、今回初だったアコースティックコーナーもとても良かった。特にベースがめっちゃ良かった。何かそういう、現在進行系で成長していくのを見られるというのはとっても幸せなことだなあと思いつつ。
そんな訳で、バンドリの2nd。前回からは初出しの1曲しか増えていないし、アニメ直前ということでコンテンツ的にも大きく動き出す前夜という感じ。なので1stで引いたスタートラインから、現在地を確かめるようなライブだったのかなと思います。助走を取ってスタートラインを超えて、さあ今飛び立ちますという瞬間を切り取った、みたいな。
そしてやっぱりバンドでやって映える曲が揃っていて、キャラクターを演じている人たち本人が生演奏でやってくれるというのは良いものだなと思いました。演奏にノれるタイプの曲が多くて単純に気持ち良いです。後はもうあれですよ、推しがね、ドラムを叩いているんですよ、バンドで。なんかそれだけで満点じゃん、っていう。
とはいえ、単純にバンドとして見るならば上手くなっているとは言えまだまだ伸びしろがありますって感じですし、やっぱりこういうコンテンツはキャラクターと演者の関係性の中で何かが生まれてくるものだと思います。そういう意味では、コミックの連載追いかけていない私が悪いのですが、やっぱりアニメ前のバンドリはまだキャラクターの方の物語があまり出てきていなくて、回るべき両輪の片側で走り出しているという印象もあって。これが両輪がっちりと噛み合ってきた時に、そこで一体どんなものが表現されるのか、それが楽しみです。新しくCDの出る「走り始めたばかりのキミに」のアニメMVでは、本人たちのライブでの仕草が割とキャラクターのCGの動きに反映されている感じがあって、そっちからくるのか!! と既になっていたりとか。
プロジェクトとしてこれ本当に上手くいくのかなあと見ていて不安になるような所も多いバンドリですが、とにかく生でライブを見てああ良かったなあ、また見たいなあと思える、そして次に見に来ればもっと進化した彼女たちを見られるものだと思うので、3rdライブも本当に楽しみにしています。期待。

魔法少女育成計画 JOKERS、ACES、episodesΦ、16人の日常 / 遠藤浅蜊

魔法少女育成計画 ACES (このライトノベルがすごい!文庫)

魔法少女育成計画 ACES (このライトノベルがすごい!文庫)

アニメ放送開始ということで既刊の積読していたものとアニメ合わせ短編集をまとめて読んだのですが、いや本当にまとめて読むと気持ちが荒んでいくシリーズだなと思いました。


以下の感想はアニメ、というか初作のネタバレを含みます。


やはりこう、とにかく死ぬ、容赦なく死ぬ、そこまでで描写を積み重ねたキャラクターの背景も使う魔法も関係なくあっさりと死ぬ。キャラクターの抱えたものを解決するのではなく、キャラクターの死を積み重ねることで物語が駆動するこの感じ、ああ、魔法少女育成計画読んでるなあと。そしてそんな当たり前のように逝ったキャラクターたちのエピソードが短編集で後から出てくるのですが、ちょこっといい話みたいなエピソードを今更与えられましても、この子もう死んでますよね……みたいな気分になれるのが何というか。これを読むことで私の中でキャラクターの厚みが増して形になっていくけど、でも。
まあそんな魔法少女育成計画ですが、世知辛くきな臭い魔法の世界絡みの大きな動きがあったのがJOKERSとACES。人事部でスピード出世をしていたプフレに汚職調査の横槍が入ったところから、彼女が自分から切り離した記憶をめぐる物語と、彼女がその後に打った手によって物語は動き出します。正直広げた風呂敷の大きすぎる話で、JOKERS、ACES単品の話では完結しないどころかまだ全体像も見えてこないのですが、魔法の国の三賢人の現身が2人直接登場したり、スノーホワイトがそのうち一人の側についたり、プフレはフレデリカを使って何をし用としてるのかだったり、人造魔法少女という新たな存在や魔法の国の危機が浮き彫りになったりと、各勢力入り乱れた大きなうねりが起きている状況。このあたりは刊行が延期してしまったQUEENSの中でどういう結末を迎えるのか、楽しみにしていたいと思います。
単巻の物語としては、JOKERSの人造魔法少女たちがやるせなかったです。何者か、というかおそらくあの人の関連で魔法の国の関与無しで生み出された魔法少女たちは、研究所をベースにピュアエレメンツを結成。これが所謂プリキュア的なキラキラとした魔法少女として謎の敵と闘っていた訳ですが、何もかもが作られ与えられたものだったというのを本人たちだけがあずかり知らぬまま、本物の魔法少女による魔法の国の血で血を洗う勢力争いに放り込まれ、翻弄されていくのがなんとも。大きすぎる流れに、期待とか希望とか恋心とかそういう正の感情がすり潰されていくのは結構くるものがありました。
あと、彼女たちを前にしてもはや魔法の国側の存在となったスノーホワイトさんが何を思うのか。強力すぎる敵を前にして生き残るための最善を尽くした彼女は、確かに正しく、ただそれでも救えたかもしれない何人かを救わなかったことも確かで。ただ困っている人を助ける正しい魔法少女であろうとした彼女が、正しくない魔法少女と闘うという修羅の道を選んだ先に何があるのか。ACESでのリップルとの悲しい形での再会も含めて、どうしてもあの試験から始まったその道の先に光があるようには思えないことが気がかりに思います。
しかし、クラムベリーの試験最後の生き残りにして、今となっては大物犯罪者であるフレデリカに師事、後に悪事を告発し捕縛、その後「魔法少女狩り」となって魔法少女を捕まえて回り、あの戦闘力に特化した魔王塾出身者をも倒し、今度は魔法の国の三賢人が1人の現身を捕縛って、スノーホワイトさんマジスノーホワイトさんって感じ。羅刹か何かか。思えば遠くに来たものだと、ラピュセルに守られねむりんの死に涙を流すアニメの彼女を見ながら思います……。

ZAQ LIVE TOUR 2016 「NO RULE MY RULE」 10/22@STUDIO COAST

ZAQライブは最高に楽しいと毎度毎度言っているのですが、今回も本当に楽しかったです。ライブハウスで、様々な色があってどれもキャッチーなZAQの曲と、それを一つに繋ぐZAQのパフォーマンスと、めっちゃ上手いZAQ JAPAN(バンド)があれば無敵! みたいなやつ。色々とライブを見に行っている昨今ですが、細かいこと考えずに楽しいいいい!! ってなっているライブとしては私の中でZAQのライブが図抜けてると言ってもいいんじゃないかなと思います。
開幕『NO RULE MY RULE』から『絶好調UNLIMITED』『Alteration』『行きたいイベント重なりすぎてコンプできないオタク葬送曲 feat.遠藤ゆりか』へと続くいきなり全開のセトリで始まり、本家より先にライブでカバーが披露されるという『ヴィヴァーチェ!』あり、Pとしては最高に高まるミリオンライブカバーメドレーで本家でも聞いたことなかった『追憶のサンドグラス』を聞き、中盤はアッパーなだけじゃない色合いを見せて、インストの『僕たちはひとつの光』で合唱し、『GLITCH』のゴリゴリのラップも楽しかったし、『KURUIZAQ』『カタラレズトモ』『Seven Doors』『ONE WAY ROAD!!』という終盤の畳み掛けも最高でした。
ZAQという人はソングライターとしては凄く職人的で、アニメ作品にかなり入れ込んだ曲を作ってくる人だという印象なのですが、今回のライブでそれは間違っていないけどちょっと違うんだなと思いました。どんなアニメの曲を歌っても、どんなにその作品に寄り添ったとしても、この人は自分の言葉で自分の歌を歌っているんだなと。MCでライブができないかもしれなかい状況だったという喉の不調の話があって、アンコールはもうやれないから最後の曲だと歌いだした『hopeness』。そこに込められたものに、これは紅殻のパンドラというアニメの曲であると共に、ZAQZAQの言葉で歌うZAQの曲であるんだなあと、このパフォーマンスは目と耳に焼き付けなければならないやつだと思って見ていました。
私は提供曲含めてソングライターとしてのZAQは本当に天才だと思っていて、それでも本人が歌う曲が特別好きなのはどうしてかと思っていたのですが、何だかそれがようやくわかった気がしました。この人はどこまでも自己表現の人で、だからZAQの曲はZAQが歌わなくちゃいけないんだと。
喉の不調でシングルの発売が延期して、いつ次のライブができるのかもわからない状況なのかもしれませんが、それでもこの人の歌をまた聞きに来たいと思ったし、次のライブを楽しみに待っていたいと思います。