先生とそのお布団 / 石川博品

 

先生とそのお布団 (ガガガ文庫)

先生とそのお布団 (ガガガ文庫)

 

 これを素敵な物語だなんて言ってしまうのは気がひけるのですが、でも読み終わった後に、とても良いものを読んだと思わせてくれる一冊でした。

売れないラノベ作家の石川布団と、しゃべる猫である先生。その1人と1匹を中心に描かれる物語は、作者の半私小説の色合いを帯びています。でてくる作品も、レーベルも、即売会も、名前こそ変えてありますが完全に作者の経歴に符合していて、これまでに読んできたファンほど、ああ......となるところが多いのではないかと。

そしてそのラノベ作家と先生の苦悩の日々が、どこか淡々と、作者にしてはシンプルな文章で綴られていくのがとても良かったです。執筆の苦しさ、振るわない売上、打ち切り、いつまでも出ない新作、編集会議を通らない企画。編集者との関係、才能ある売れっ子作家との比較、ファンの存在。もっと激しい喜怒哀楽があるだろうそれらが、先生という存在もあって、それでも愚直に書き続ける、どこか穏やかな日々にも見えるような不思議な感じ。そしてそれがクライマックスの展開に、大きな流れの中で書き続けることの意味に繋がっていくのがすごくすっと腑に落ちる感じで。

厳しく冷たいだけではなく、優しいとも、温かいとも何かちょっと違うなとも思うのですが、読み終えてどこか安心するような気持ちが生まれる小説でした。

1月のライブ/イベント感想

インフルエンザでいくつかチケットを無駄にした1月ですが私は泣いてない。

Linked Horizon Live Tour 進撃の軌跡 総員結集凱旋公演 1/14 @ 横浜アリーナ

進撃の軌跡(CD+Blu-ray)

進撃の軌跡(CD+Blu-ray)

 

 バンドにダンサーにストリングス、ブラス、ホルン、木管、ハープ、パーカッションにクワイア、背景には進撃の巨人の映像と、ここまでのツアーでやってきたことが全部載せのリンホラ凱旋公演。かなりの数を重ねてきただけあって、最初に見た時とは全体のまとまりというか、チームとしての一体感が段違いになっていてとても良かったです。そしてやっぱりRevoの楽曲は、こうやって大きなステージで、過剰なまでの音の厚さで来る時に輝くなと、ブレイブリーデフォルトのコンサートを思い出しながら思っていました。

そしてリンホラと言いつつ、第二壁でサンホラの楽曲をやってくれると本当にうわああああってなるんですよね。特に今回は聖戦のイベリア改め「凱旋のLinked Horizon Arena」がね、本当に楽しくてね……。領拡か生誕祭またやってくれませんかね……。

 

岸田教団&THE明星ロケッツ 10th Anniversary Tour 2017~2018 ~懐古厨に花束を~(仮) 1/20 @ ディファ有明

LIVE YOUR LIFE

LIVE YOUR LIFE

 

 岸田教団10周年ライブ。私昔から好きだけど、懐古厨ってわけでもないからなあと思っていたのですが、冒頭で10年を遡って振り返るムービーが流れて、初期の曲からライブが始まった瞬間に、ごめん私懐古厨だったわと思いました。あの頃の、好きになった頃の岸田教団の曲が、あの頃とは比較にならないくらい上手くなった今のライブで聞けるって、それはもう幸せなこと以外なにものでもない訳で。

本当にプロって感じになったよなあと思ったところに、ichigoさんのとんでもないMCで変わらないなあと思ったりして、10年を振り返るセットリストの最後に「愛してきたものに救われる日々だ」なんて歌われたらそんなものもう泣くでしょって。

ああ、私は岸田教団好きなんだなって、分かっていたことだけど改めて思うライブでした。

 

Kalafina 10th Anniversary LIVE 2018 1/23 @ 日本武道館

百火撩乱(初回生産限定盤B)(Blu-ray Disc付)

百火撩乱(初回生産限定盤B)(Blu-ray Disc付)

 

 10年。10年ですよ。Dream Portのオープニングアクトみたいな立ち位置で初めて見たあの時からもう10年が経とうとしていて、そしてこれが、この気持ちが10年間追いかけ続けたってことなんだなと思いました。

去年から10周年への並々ならぬ想いは随所に見えていた所に、MCもアンコールも削り取り、ファン投票で上位に入った曲から歌えるだけ歌うセットリストのライブを、あの迫力というか、気迫でやられたらなんかもうね、持っていかれるというか、言葉がないですよね。

これまで10年のKalafinaの集大成にして総決算、全てを噛みしめるようなライブでした。間違いなく特別だった。

 

リスアニ!LIVE 2018 1/27・28 @ 日本武道館

リスアニ! Vol.32

リスアニ! Vol.32

 

 リスアニライブは各アーティストの持ち時間がしっかり取られていて、全組生バンドなのがやっぱりいいイベントだなあと思います。

土曜日は何はともあれOLDCODEXが素晴らしかったです。毎年一回くらいのペースで見ているのですが、最初は声優がやっているユニットくらいの印象だったのが、もうそんな枕詞いらないところにいるというか、これが色々なフェスにバンバン出ている人たちのいるレベルか! って驚くくらいになっていて。めっちゃカッコよかったし、凄かったです。リスアニというイベントの客を尊重しながら、だんだん自分たちの世界に引き込んでいくMCも、前に出た時はそんなもっと尖ってたのにとびっくりしました。

日曜日はミリオンの生バンドが来てよかったって感じでした。ミリオンというか、「Maria Trap」と「流星群」の生バンドね! ほんともう待ってた!! ってね。「Maria Trap」はそうそうこれが聞きたかったの!!! っていう。「流星群」で愛美と作曲者の黒須さんが背中合わせでギターとベース弾いてるのも、ここじゃなくちゃ見れない感じで素晴らしかったです。

あとはTrySail本当に居るステージが上がった感じがあるなあとか、武道館で歌うさユりも良いと思ったのとか、fripSideに貫禄が出てきたと思ったのとか、そんなリスアニライブでした。

君の名は。 Another Side:Earthbound / 新海誠・加納新太

 

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
 

 瀧in三葉、勅使河原、四葉、そして三葉の父の俊樹の視点から語られる君の名はのサイドエピソード集。

瀧が三葉の中に入ってる時にどう暮らしていたか、勅使河原が自分の家と町のことをどう思っているのか、四葉が姉や神社のことをどう思っているのか、三葉の父が何故瀧in三葉が来た時に驚愕し、その後住民を避難させたのか、そういった映画の補完をするエピソード集なのですが、通して読んで感じたのはこの町における宮永神社という信仰の特異性。

映画は入れ替わりと時間軸のズレを細かく繰り返しながら構成されていて、SFとして見ている感覚が強かったのですが、これを読むと、この作品、徹頭徹尾、宮永という宗教の話をしていたんだなあと感じます。日本神話の主流からも切り離された土着の信仰における、彗星、組紐、結びの意味合い。遥か昔から流れ続ける時の中で、何が導かれ、そして「あるべきように」なったのか。

結ばれ繋がり巡りゆく、宮永神社信仰という大きな流れの中に、瀧と三葉の物語も、俊樹と二葉の物語も全てはあったのだなと、そんなふうに思いました。

りゅうおうのおしごと! 7 / 白鳥士郎

 

 意味がわからないくらい熱くて、めちゃめちゃ面白いです。凄かった。ここに来てちょっともうとんでもないですね、このシリーズ。

今回の主役は八一たちの師匠である清滝鋼介九段。身体も頭も衰えは隠せない、オッサンというか初老に差し掛かる年齢の彼が、順位戦という将棋界のシステムの中でC級1組への降級崖っぷちで見せる足掻きっぷり、最高にみっともなくて、最高にカッコよかったです。おじいちゃん先生輝いてたよ……。

とんでもない大ポカも増えた、体力も気力も続かなくなった、最新の研究にはついていけない。飛ぶ鳥を落とす勢いの若者たちが、自分の過去を否定して昇っていく。そんな引退の見え始めた下り坂で、名人挑戦者だった過去とプライドを振りかざして、かつてあれ程嫌っていた老人に自分がなっていると気がついた時に、たどり着いた気持ち。はるか格下の若者に頭を下げ研究会を開き、嫌っていたソフト研究も取り入れて、周りから見たらおかしくなったかと思われても、何をしてでも勝ちたいんだという想い。未来の名人とまで呼ばれる神鍋を相手に回したまともにやったらどうしようもない最終戦、八一たちが見せてきた諦めない関西将棋の真髄を、その師匠の姿に見ました。いやほんと格好良かった。

そしてこの小説、そんな師匠の物語や、師匠と八一たち一門、そして愛娘桂香さんの関係だけで一冊書けそうなのに、天衣のマイナビ本戦や勢いに乗る八一の昇級の掛かったリーグ最終戦もあるという異様な密度。それを研究と定跡で読みを省略する現代将棋、将棋ソフトの見せる新しい景色、いつしか忘れられた過去の差し筋という対比や、ソフトの指す将棋と人間が指す将棋という現在進行系のテーマで貫いて、一つの流れにまとめ上げてるのがちょっともうやばいです。

なんというか、構成が洗練されているというより、トップギアに入ったまま落ちない熱量で、このキャラクターたちのドラマと将棋界というものを描ききるんだという執念めいたものを感じます。そして最終的に、人が指して、人が勝って、人が負けるから、その泥臭さも、残酷さも、醜さも全て含めて将棋は面白いんだと、物語の力でねじ伏せるように実感させるのが本当に凄まじかったです。

あと、姉弟子は放っておいたらあまりに危うすぎる人だと思うので、八一は何かしら責任を取った方がいいんじゃないですかね。あの子だけどうやっても幸せな未来がイメージできないんですけど……。

 

Just Because! / 鴨志田一

 

 素直じゃなくて、拗らせて、面倒くさくて、でも真っ直ぐな高校生たちの恋模様。この原作小説を読んでアニメも全話見たのですが、泉と夏目に焦点を当てて内面描写多めの小説、相馬と森川の関係を含めて群像劇として描くアニメ共に素晴らしかったです。

卒業3ヶ月前に地元の高校へ戻ってきた泉。旧友と、想い人との再会。片想いが連鎖する恋模様は、押せ押せな感じではなくて、もどかしくて切ない感じ。5人の交流が表面化させたのは隠し通すはずだった拗らせきった片想いで、抱え込みながら、抱えきれないそれは本当に面倒くさいな君たちという感じですが、彼ら彼女らは一人として性格が悪かったり嫌な子だったりする訳ではないので、前向きな気持で読むことができます。

受験に推薦、初詣、野球、部活動にLINEのグループ。ちょっとしたトラブルも含めて、実在の街で描かれるのは高校生らしい出来事。その中でそれぞれの気持ちが、少しずつ、ある時は思いがけず動いて関係性が変わっていく、そのさじ加減が絶妙で、流石に青春ものに定評のある作者だなと思いました。特に夏目が相馬への気持ちに整理をつけてからの、小宮の先輩をデートに誘ってもいい? からの「ダメ」はすごいキレだったなあと。口ごもるのでも、流すのでもなく、思わず出たダメってまた。この辺り、エピソード追加もされていたアニメ版も毎回の引きが強烈で面白かったです。

それから、もう明らかに負けヒロインとして登場しているのに、泉に一番まっすぐに恋をしていた小宮さん。本当に良い子で、なんで幸せになれないんだろうと思うのですが、ただこの子も夏目を好きな泉が好きで、負けると分かっているからこそあんなにまっすぐに動けていたような感じもあって、それはそれで拗らせていたんだろうなあと。

「だって、そういうえーた先輩を、私は好きになったんじゃん」

負けヒロインの台詞として、これ以上に切なく、美しいものはないって思います。

そんな感じのほろ苦くてだだ甘な青春恋愛小説。あと人生二回分くらい徳を積んだら、来世の来世のその次辺りでこんな青春送ってみられるのだろうかと思いつつ、堪能しました。

2017年に触れた10の沼

最近、距離を取っていようが、こちらから近づこうが、気がついた時にすぐ側にあるのが沼だということが分かってきました。沼は事故。

ということで、去年から引き続きのものも、思いがけず沈んだものも、今まさに触れたところのものも含めて、今年の10の沼を。

 

1.HiGH&LOW

HiGH & LOW THE MOVIE(通常盤) [DVD]

HiGH & LOW THE MOVIE(通常盤) [DVD]

 

何もかもが想定外だったんですけど、気がついたら落ちていましたね、ハイロー。まさに今年最大の大事故。EXILEというかLDHと関わりのない人生を歩んでいる気がしていたんですが、本当に世の中何が起きるかわからないしぶっちゃけ今も分かっていないので、可能性を捨てることが人生を狭くするのだと実感しております。

事の起こりはTLのオタク近辺にじわじわと勢力を拡大していたハイロー勢が、一様に何がキメたとしか思えないようなハマり方をしていて、これ知ってるよキンプリとかで見たやつじゃんと思っていた夏の終わりのこと。そして丁度公開されたTHE MOVIE2を見に行って、これ……面白いぞ……? と思って気がついたらドラマシーズン1、シーズン2、MOVIE1、RED RAINと見ていそいそとMOVIE3公開を待っていましたね。怖い。

いやほんと、俺が考えた最高に燃えるシーンと最高にかっこいいアクションと最高の関係性みたいなのが、ものすごい勢いと金のかかった映像とLDHの人々の高い身体能力と顔の良さで迫ってくるんですよ。完全にジャンプの実写みたいな、そんなノリで、勢力紹介とチームごとのテーマソングだけでもうね。達磨一家最後まで何だかよくわかんなかったけど滅茶苦茶格好いい……。そして細かいことは気にしないでいいと思ってたんですけど、それ回収するか!! みたいな美しい伏線回収がMOVIE3で決まったので(大量の突っ込みどころは残りつつ)完敗ですね。スモーキーがもうマジね……RUDEの子たちがね......。

とりあえず、ガルパンとかラブライブとかのノリが好きな人は見るといいと思います。魂はだいたい一緒だ。つまりここのところのオタクが大好きなやつだ。

HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY - FULL MOON PRAYER

HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION - FULL MOON PRAYER

 

2.貴族探偵

貴族探偵 Blu-ray BOX

貴族探偵 Blu-ray BOX

 

 お前来年嵐の相葉くんが主演の月9ドラマにハマるよって去年言われたら一笑に付してたと思うんですけど、なんか麻耶雄嵩が月9でドラマ化というそれ自体がウルトラCみたいな現象が起きて、しかもそれが最高の出来だったらやぶさかではないですよね。相葉くんの貴族さま、大変お美しゅうございました。

ということで、まさかの麻耶雄嵩月9。原作を大幅改編で2冊分通じて女探偵を主役に仕立て、オリキャラ大量投入にトリックまで改変した上でドラマに横串のストーリーを通すという、普通に考えたら原作ファン的にはお通夜になることを原作ファンの熱狂に変えたスタッフの手腕がもうほんと素晴らしかったです。だってもう1話見た時点でだいぶ改変されてるのに、あまりにも麻耶みが高くて狼狽したからね、これ。

その後もシーズン通した大トリックまで期待を裏切らずに、麻耶ミステリっぽさをドラマで体現してくれる最高の出来でした。特に映像化不可能と言われた「こうもり」を、映像化不可能であることと原作改変ありなことを逆手に取って、既読者こそを混乱のるつぼに叩き落とすあの構成、TV放送という媒体まで含めて完璧にハマっていて、神がかっていたと思います。

ありがとうスタッフありがとうメルカトルもドラマ化してくれ

 

3.プリンセス・プリンシパル

 劇伴が梶浦由記で、梶浦さんがとにかくシナリオが面白いと放送前から大プッシュしていたのでかなり期待値高めで待っていたオリジナルアニメだったのですが、高い期待値すら軽々と超えてきて、これ好き……ってなりました。ほんと趣味。

壁に分断された霧の街ロンドンを舞台にした少女スパイたちのアクションもの、そしてスチームパンク。1話でのケイバーライトを使った大アクションに、スパイの「嘘」をテーマに苦味の残るストーリー、そして鳴り響く梶浦サウンドでもうこれはと思っていたのですが、本当にハマったのは2話。時系列を遡ってのプリンセスとの出会いの話。

プリンセスの得体のしれなさ、アンジェとの過去の謎でこの時点で相当面白かったのですが、二人の過去が明かされた後に見返すとまたね、これがね、全然違うんですよ......。壁に引き裂かれた訳ありの2人が、あそこで姫とスパイとして再会して何を思ったのか。そしてプリンセスの過去を踏まえて発売されたキャラソンを聞くともう。

仲間同士でも嘘を抱えながら少女たちの間に芽生えた絆に、これは絶対に誰か死ぬんだろうと思わせるビターな展開が終盤に向けて加速する中でも、もうご都合でかまわないから生きてくれと思わさせられるくらいに、気がつけば思い入れを持っていました。

ラストは2人の物語としては綺麗に終わっていて、2期でこれ以上のものが見られるとは思わないけれど、でも2期が見たい……というこの悩ましい感じ。とりあえずブルーレイをマラソンしながら待っています。

 

4.アイドルマスター シンデレラガールズ

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER EVERMORE

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER EVERMORE

 

 アイマスはミリオンもSideMも好きで、CDは聞いているしライブにも行くのですが、ただ私が好きなのはシンデレラなんだなと改めて思った今年でした。正直全部は追いきれてなくて、どのキャラがとか、どの曲がということでもなくて、それでもシンデレラガールズというコンテンツを推しているこの感じ。

今年は初めてのライブツアーを駆け抜けていったことが印象的でした。シンデレラガールズのライブという型が、どこの場所でも、誰が出演者でも実現できる完成形に到達したという感じのツアーで、更にあそこに色々付け足したり、新しい試みが披露されたりするだろう次のライブも楽しみです。

あと、デレステを多少回してもいいと思いながら遊んでいたら、課金額がちょっとびっくりしたので反省はしたい。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!! 宮城1日目5/13 @ LV - FULL MOON PRAYER

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!! - FULL MOON PRAYER

 

5.大橋彩香

 相変わらず、ふーたそ!(飼い猫)、ペペロン!、イケメン!(二次元)と叫んでいるうちの推しですが、今年は確かな成長を見せながら、本当に楽しそうに仕事していたなあというのが、最大にして最高の良かったことだったなと思います。役者としてアーティスト活動をすることが明確に形として見えてきた1stツアー。今年も主役を幾つかもらっていたアニメへの出演。私は見れなかったのですが朗読ライブもあり、引き続きのラジオも新たに始まった一人喋りラジオもありで、きっと充実していたんだろうなあと。

そしてバンドリの武道館。センターステージだったので丁度ドラムを叩いている背中が見える位置にいて、ああなんて頼もしく、なんて尊いんだ……と。

大橋彩香 1stワンマンライブTOUR2017 OVERSTEP!! 3/5 @ 豊洲PIT - FULL MOON PRAYER

BanG Dream! 4th☆LIVE Miracle PARTY 2017! at 日本武道館 8/21 - FULL MOON PRAYER

 

6.Linked Horizon

進撃の軌跡(CD+Blu-ray)

進撃の軌跡(CD+Blu-ray)

 

 あらゆる意味で作品愛が重すぎる二次創作アルバムをリリースし、サンホラを含めても過去最大規模の全国ツアーで、後ろにアニメ映像を背負いながら歌、なんなら本人と作品キャラのコラボグッズが生まれるという、進撃の巨人オタクの到達した極地みたいなことを全て公式としてやっていた今年のRevo団長。

作品のキャラクターをフィーチャーした楽曲群も素晴らしかったのですが、最新話を連載で読んで、来るアニメ二期のエレンへ掛ける言葉を探すという同人誌の前書きか後書きみたいな「二ヶ月後の君へ」が最高でした。勢い余ってこの先のアニメがどうなるかも、ましてやタイアップなんてどうなるかわからないままに「燃え尽きるその軌跡は僕が全て必ず詩にする」って歌ってるのがもうね……。

 

7.魔法陣グルグル

 長く生きていると良いこともあるんだなとしみじみ感じたグルグル3回目のアニメ化。小学生の頃に初めて自分で買ったマンガが、まさか2期から17年、1期からは23年越しにアニメ化されて、原作の最後まで見られるなんてそんなもう感謝しかないですよね……。しかもこれが素晴らしい出来で。

2クールで原作全部を消化しようとして、かなり駆け足だったりカットされていたりはするのですが、グルグルらしいアニメになっていたし、本当に今見ても面白くって最高でした。ありがとう世界。ありがとうスタッフ。捨てたもんじゃないな人生

あと、当時から今に至るまでジュジュが好きなことがぶれていなかったので、三つ子の魂は本当に百まで行くものなんだなと深く納得した次第です。

 

8.西澤幸奏

Break Your Fate (DVD付初回限定盤)

Break Your Fate (DVD付初回限定盤)

 

 ロック路線! ギター少女! めっちゃいいじゃん!! と思っていた去年から、今年放たれた1stアルバムが予想を遥かに超えてゴリゴリのロックだったからもうテンションが弾けましたよね。本当にいいアルバムでした。「Break Your Fate」→「Shark」→「Gemini」の頭3曲でブチ上がる未来しか見えないところに、1stライブもこの曲順でやってくれてもう最高でした。あと前がモッシュで大変なことになっていようが煽り続けるのすごいなって。

あとは、鈴木このみと「空色デイズ」をカバーしたアニサマだとか、ANIMAXの「青空のナミダ」とか、AnisonDaysの「遥か彼方」とか、ギターかき鳴らしながらのカバー曲が結構好きです。まだまだこれからな部分も多いので、この先がますます楽しみ。

西沢幸奏 1st LIVE "Break Your Fate" 4/30 @ 赤坂BLITZ - FULL MOON PRAYER

 

9.Kalafina

Kalafina Arena LIVE 2016 at 日本武道館 [Blu-ray]

Kalafina Arena LIVE 2016 at 日本武道館 [Blu-ray]

 

 ここ数年の挑戦が花開いた9周年だったなあと思います。ちょっとイベントが重なって行けなかったツアーのブルーレイを見ても思ったのですが、普段よりも自由にできる部分が多いアコースティックライブの方でそれが爆発していた感じ。

元々のプロジェクトとしての出発点でもあった梶浦由記がつくるKalafinaの音楽世界の1つのパートから、この3人が歌で表現をするユニットへ。オペラシティで聞いたアコースティック、歌の迫力に圧倒されました。デビュー時からずっと追いかけてきたけれど、もしかしてこの人たちはとんでもないユニットになったのではと、思うくらいに。

Kalafina Acoustic Tour 2017 ~"+ONE" with Strings~ 12/3 @ 東京オペラシティコンサートホール - FULL MOON PRAYER

 

10.ヒプノシスマイク

ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-

ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-

 

 声だけで表現をする声優と、言葉で表現をする日本語ラップ。どう考えても相性は悪くないのに、なんで誰もその組み合わせに気が付かなかったんだろうという企画。

作り手側の前のめりな感じと本気なクオリティの楽曲、そしてラップ×声優という新しい組み合わせがまだ見ぬ何かを生み出しそうな感じ、これ今追いかけると絶対楽しいやつだという気配が滅茶苦茶漂っています。

今のところ新宿が好きです。あのCDの3曲本当に中毒性がある……。

 

その他

本とマンガは別エントリで上10個以外に今年印象的だったものとかを。

ライブ/イベント

ちょっと待ってこれ凄いぞとなったのは横アリのワルキューレ。生バンドであの難しい楽曲を踊りながらハモるのはびっくりしました。本当に良いライブだった。JUNNAとダブルエースを張っていた鈴木みのりのソロ活動も期待しています。シンデレラにも来ましたし。

あと今年はアニサマがめちゃくちゃ楽しかったです。特に1日目が最高でした。やっぱりアニサマなんだなと。フェス系だとリスアニのLiSAとKalafinaのツーマンが流石! という感じのライブで素晴らしかった。それから相変わらず死にそうに楽しいZAQとか、SideMの幕張も気持ちの見えるライブで大変良かったです。

あとはカラオケMAXという声優がカラオケをするイベントがあんなに楽しいとは思わなかった。特にとっとさんのデーモン閣下と一人テニミュ、最高でした。そうかこういうイベントもありなんだなあと。

音楽

さユりの「ミカヅキの航海」が最高でした。あの息詰まるような感じと見える若さ。吐き出すように、訴えかけるように、ギターを抱えて歌うの、好きです。ドームシティのライブも良かった。

岸田教団の「LIVE YOUR LIFE」は岸田教団にこんなの持ってこられたらもうねという「LIVE OUR LIFE」が本当に、噛みしめるほどに良い曲で……。

あとはOLDCODEXの「they go, Where」がラウドさとキャッチーさのバランスが凄く取れていて好き。内田彩「ICECREAM GIRL」、TrySail「TAILWIND」も良かったです。

曲ではバンドリポピパの「Time Lapse」「夏のドーン!」がガールズバンドの好きなやつはこれ!! という感じでたいへんよろしかったです。キャラソンだとミリオンの「Sweet Sweet Soul」のかわいい×ラップもすごい好き。あとは、思わず息を呑むようなAimerの「花の唄」や、竹内まりや曲を完全に歌いこなしていた早見沙織「夢の果てまで」、出す曲出す曲ハイクオリティだったfhanaの「青空のラプソディ」の開放感も良かったです。それと、相坂優歌のちょっと外れたところでツボを抑えてくる感じに、来年発売のアルバムとても期待していたり。

あとは、TV放送でキントリをみて生バンドの小倉唯の破壊力がヤバいことに気がついた今年でもありました。カラオケだとお人形みたいな印象があったのですが、生バンドだと最高のバランスで色づいてくるのヤバいなと。「ガーリッシュエイジ」が素晴らしすぎたのでみんな一度見てみてください。

アニメ/映画

アニメはラブライブサンシャインの二期が、μ'sを追いかけて始まった高海千歌aqoursの物語を、完全に自分たちの物語にしていく作品になっていて素晴らしかったです。廃校が決まって、そこからラブライブに優勝して名を刻もうとなっていく流れも熱かった。

SideMのアニメは本当に丁寧に上品に作られていて、突き抜けるような破壊力はないけれど素晴らしいアニメ化だったなと。少女終末旅行は静かに終わっている終末世界で、一見穏やかな二人旅の向こうに見える「絶望と仲良くする」感じがとても好み。マンガでも取り上げた小林さんちのメイドラゴンや、メイドインアビスも良かったし、もう圧倒的に頭が悪くて最高だった「アイドル事変」も毎週楽しかったです。

映画ではやはりキンプリの続編であるキンプラが、あの勢いで駆け抜けていって最高でした。人が王になる瞬間を我々は見てしまった。あとガルパンの最終章もまだ1話ですが相変わらずな感じで面白かったです。それからローグ・ワンスターウォーズEp.4直前を描いた物語としてこれ以上にない最高の映画でした。めっちゃ良かった。そしてEp.8については私の中で限りなくナシに近い審議中です……。

スポーツ

F1は今年こそ行けるぞフェラーリ! から、夏すぎての「Vやねん! フェラーリ!!」までの流れがなんともはや。お家芸の内部のゴタゴタまで出てきて、来年大丈夫かなと。そして大丈夫ではなかったマクラーレン・ホンダはドタバタの末に離婚が成立して来年はマクラーレンルノートロ・ロッソ・ホンダに。まあ来年はシャーシはトップレベルと豪語し続けてきた真価を見せてもらいましょうという感じで。

あとインディ500佐藤琢磨の優勝は本当に良かった。まさかインディ500で日本人が勝つのを生きているうちに見られるとは思っていませんでした。感動。

プロレスは相変わらず新日本を見ていて、オカダvsケニーがやっぱり凄かったなあと。G1は内藤が勝つべくして勝ちましたが、スーパーJr、タッグリーグといいバラエティ豊かな選手が見れてついつい全部見てしまいます。マーティ・スカルがめっちゃ好き。あとはヤングライオンもどんどん出てきて、新日は黄金時代になりつつあるのかなとか。

阪神は戦力にしてみれば頑張ったように思いますが、良かった所もあれえと思うところもある一年でした。中継ぎ陣の充実は本当に素晴らしかったです。若手が出てきているようでもう一つブレイクしきれていない今の状況、来年こそは打ち破っていかないと流石に福留、鳥谷、糸井、メッセ任せではそろそろ厳しかろうという気も。

2017年の7作(マンガ)

小説に続いてこちらはマンガの7作品。なんだかんだアニメ化作品に手を出すことが増えている気が。

 

1518! イチゴーイチハチ!  / 相田裕

1518! イチゴーイチハチ! 4 (ビッグコミックス)

1518! イチゴーイチハチ! 4 (ビッグコミックス)

 

「夢を諦めるところからはじまる物語」という通り、もう終わってしまった後の、きらきらと輝く表舞台ではないけれど、彼ら彼女らにとってはかけがえのない特別な時間を生きる、青春物語。本当に素敵な作品です。

1518! イチゴーイチハチ! 3 / 相田裕 - FULL MOON PRAYER

1518!イチゴーイチハチ! 4 / 相田裕 - FULL MOON PRAYER

 

空電ノイズの姫君 / 冬目景

 音楽をテーマにお届けする、最高の冬目景各種詰め合わせといった趣の一冊。まだ1巻で始まったばかりですが、ほんとこれこの先もめっちゃ楽しみです。

空電ノイズの姫君 1 / 冬目景 - FULL MOON PRAYER

 

虚構推理 / 城平京・片瀬茶柴

虚構推理(6) (月刊少年マガジンコミックス)

虚構推理(6) (月刊少年マガジンコミックス)

 

 ありがとうこのビジュアル化が難しそうな作品の最高のコミカライズ! そしてありがとうもう読めるなんて思っていなかった続編!! もうただ圧倒的感謝。そしてあとはアニメ化待ってるよ!!!

虚構推理 6 / 城平京・片瀬茶柴 - FULL MOON PRAYER

虚構推理 7 / 城平京・片瀬茶柴 - FULL MOON PRAYER

 

小林さんちのメイドラゴン / クール教信者

 なんだか色々あった後の余白みたいな、はみ出した場所で全く違う種族の2人が、それが自然な感じに寄り合うような、そういうのめっちゃ趣味なんですよ。ああ、ダメだ、好みだ.....ってなります、これ。

小林さんちのメイドラゴン 1~5 / クール教信者 - FULL MOON PRAYER

小林さんちのメイドラゴン 6 / クール教信者 - FULL MOON PRAYER

 

進撃の巨人 / 諌山創

 ここまでの全てが、一つに繋がる第1部完な趣の22巻。アニメ2期が丁度このあとに始まったのですが、これを知ってから見ると読んだ当時とは全く見え方が違ってくるのが凄いと思いました。

進撃の巨人 22 / 諫山創 - FULL MOON PRAYER

 

メイドインアビスつくしあきひと

メイドインアビス 6 (バンブーコミックス)
 

 アビスという大穴の底を目指す少年少女の冒険物語ですが、とにかくエグい。キツい。けれどその絵に、ストーリーに、キャラクターにグイグイと引き込まれます。よくもまあこれをTVアニメでと思いましたが、アニメ化以降の話がまた更に凄まじいことになっていました。そしてアニメ続編って本気か……。

メイドインアビス 1-6 / つくしあきひと - FULL MOON PRAYER

 

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149 / 升之

 シンデレラガールズの子供組を中心に据えたこの作品は、本当に丁寧で愛に溢れた最高のコミカライズだと思います。年相応な姿と、彼女たちそれぞれに頑張っている姿、そんな彼女たちを見て頑張るプロデューサーの姿。ああこれが尊さ......と。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149 1 / バンダイナムコエンターテインメント・升之 - FULL MOON PRAYER