サイコロジカル 上・下 / 西尾維新

サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

これは、どうなんだろう。正直あんましあわなかったというか。なんというか。ちょっと違和感のある感じでした。密度が薄い感じがしたというか、この人の書くものに慣れちゃったって言うのもあるのかもしれませんが。ただ、キャラクターとその思想がメインとなってくる物語で、クビシメクビツリと違って、私がこの作品のキャラクターに思うところがあまりなかったって言うのは大きい気がします。
とりあえず戯言シリーズの一本としてならありですが、これだけで読むと設定を膨らませるための設定や、キャラクターを掘り下げるための物語が目立ってしまって、この本自体の核心がつかめないなぁと。核心は引っ張って引っ張って、その周りで物語をやっている感じ。設定が設定のために設定してるとでも言いますか。
内容としては<死線の蒼>玖渚友の過去に迫るって所でしょうか。それから玖渚といーちゃんの関係性。読んでると、いーちゃんの張ってた防壁がだんだん崩れてる感が強いです。その分、本気で何かをしなくてはならない時に、いーちゃんみたいな人間がどうするのだろうかという興味はあります。ミステリ部分は「えー」としかいいようのない一段目の落ちの次に、しっかり二段目の落ちがあったのでいいのかな。ただ、その二段目の落ちも、次への布石なのがなんとも。
やっぱり、結論が、結末が先延ばしされてる。