ネコソギラジカル 上巻 / 西尾維新

ネコソギラジカル (上) 十三階段 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル (上) 十三階段 (講談社ノベルス)

とりあえず上中下の上。上だけ読んでどうこう言うのもなんですが。
ミステリとかはもう横において、いーちゃんを主人公にした漫画のような話になってます。戯言遣いが前向きな行動してると少年漫画っぽい。戯言な世界観は随所に散らばってはいるんですが。
いーちゃんの話と「物語」がリンクしつつ、伏線がすごい勢いで回収されています。ついでにまだ伏線をまいている部分もありますけど。世界設定とかいーちゃんの過去とかは結構詳細に語られそうです。見通しがクリアになるにしたがって、全体を包んでたどこかもやっとした感じが抜けてるのが少年漫画っぽさの理由かも。
いーちゃんの話はそのままいーちゃんの人格解体。いろんな場面でいろんなキャラクターと会話させながら、いーちゃんを浮き彫りにして解体するような感じです。世界観自体も物語も解体されてるような感があるのですが、世界の終わりに向かう物語に再構築の機会はあるんでしょうか。あと、この人の小説はレゴブロックのように要素要素を組み合わせて何かを形作ってる印象があるので、解体するとただの要素の集合体になってしまう気もします。
キャラクターのあざとさは会話部分から察するに今まで以上に直接で、もはや確信犯。キャラが立ちまくってるのはいいんですが、んーと思うことも。あと、キャラクター数はさすがに出しすぎだと思います。文章はサクッと読めて、テンポのよさは相変わらずです。あざとさが鼻に付く部分もあるし、作者の手のひらの上っていう感じもしますが、新青春エンタっていうだけあってしっかりエンタして青春していて面白いです。読んでるときはすごく惹き込まれます。
《橙なる種》=想影真心は予想の範囲だし登場人物紹介にも載ってましたが、そうくるかぁといった感じ。《闇口》《石凪》はさすがに分かるし。人物入れ替えは、誰でも無い彼女や変装スキル、想操術等々どこからでも仕掛けられる体制なので、既に相当ややこしい事になってるのかもしれません。
続きはいつになるのだか知りませんが、この巻では出なかった分次の巻でたくさん死人が出そう。というか世界の終わりってどうする気なんでしょう。謎もまだまだ残ってるし、玖渚機関やチーム、零崎辺りも関わってくるだろうし、収拾が付くのか付かないのか不安なところもあります。まぁ、気長に待ちましょう。
満足度:B+