紅 〜ギロチン〜 / 片山憲太郎

紅―ギロチン (集英社スーパーダッシュ文庫)

紅―ギロチン (集英社スーパーダッシュ文庫)


確かに面白いのですが。
パソコンが逝っちゃったとかで刊行が遅れていた紅の2巻。とりあえずはちゃんと出たことに安堵。
内容は、真九郎が将来のことを考えて悩む話。裏社会の大手組織にスカウトされて、そのテストが人殺しだったりするんだけど殺しはやりたくないし、でもこのまま成長しないんじゃ裏社会で生きていけないし、とか言ってたら話がこじれて《斬島》の殺し屋と闘うことになっちゃった、みたいな感じ。要するに真九郎が揉め事処理屋として成長していく過程の話です。裏社会で生きるためには殺しは通過儀礼というのも分かりますが、相変わらず社会の黒い部分を見せる話だなぁと思いました。ただ、延々と真九郎が鬱々としながら悩んでいるのを読むのは結構重かったです。陰惨な上に陰鬱と言うのはなかなか。紫を初めとした周りに対して鈍感だし……。それだけにラストで吹っ切れてからは熱い展開でした。スイッチ切り替えの要因がこれってことは、やっぱり正ヒロインは紫なのでしょうか。
キャラクターは相変わらずエキセントリックな女性ばかり出てきます。幼女ヒロインの紫に、幼なじみの銀子、お姉さん的な夕乃に、だらしないお隣さんとか、病弱少女とか、殺し屋少女とか。女キャラの多いハーレム構造自体は華やかで全然構わないのですが、その大部分のキャラクターの好意が真九郎に向かっていると言うのはちょっと引いた目で見てしまうところ。その他、いろいろな部分でこれでもかと言うくらいにあざとさが爆発しているので、個人的にはちょっとうーんと思ってしまいました。ちょっとやりすぎじゃないかと。多分作者の好みをこれでもかと詰め込んであって、それでいて小説としてしっかり読めるのだからすごいことはすごいのですが。あ、でも銀子のキャラクターは好きです。
そして、まぁ、戯言シリーズっぽいとか言っても仕方ないのですが、どうしても想起してしまう自分がいます。やたらと戯言の飛び交うあれよりは地に足がついた印象は受けますけど。
満足度:B+