- 作者: 西尾維新,take
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/08
- メディア: 新書
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戯言シリーズの世界設定で、殺し名の零崎一賊を主役に据えたシリーズ。いーちゃんの物語という頚木を取り払って、裏世界の人外バトルを前面に押し出したつくりになっています。舞台は戯言の何年か前で、子荻vs零崎一賊という何度か語られていた戦い。玉藻や遊馬、人識や圧倒的な変態さを見せ付ける双識が出てくるのはもちろんのこと、ファンサービスなのでしょうがあんな人やらこんな人やら本当に大盤振る舞いの総出演です。あの兄妹の家族関係がちょっと分かってしまったり、あの双子と人識と玉藻の関係が描かれていたり、あのメイドさんが登場したり、例の人類最強が相変わらずの規格外っぷりを見せ付けたりと、ファンにはたまらないものが。キャラクター同士が様々なシチュエーションと組み合わせで闘ったり、今まで知らなかった関係性が繋がっていくのを楽しむ小説という印象。ストーリーは過去話である以上どうしても先が見えてしまってますし、人外バトルをくりひろげている以上の内容も感じられないので、キャラや設定に愛着が無いと少し辛いものがあるかもしれません。
主人公は軋識なのですが、圧倒的なパワーインフレの結果なのか、零崎の二枚看板のはずなのに情けないシーンが多くてちょっとへたれ気味。というか、全体的にみんなどこか抜けていて、殺し合いなのに殺伐としてないのが味といえば味かも。この辺りの煙に撒かれるような印象は西尾維新らしい天邪鬼さを感じる部分でもあるのですが、そのために王道バトルものとして見るとちょっと熱さが足りない部分もあって、個人的には少し不満が残りました。
次の戦いへの伏線も張っていて、続きも出る模様。次はどんなキャラがどんな戦いを演じるのか楽しみです。
満足度:B