NHKにようこそ! 6巻 / 滝本竜彦・大岩ケンヂ

NHKにようこそ! (6) (カドカワコミックスAエース)

NHKにようこそ! (6) (カドカワコミックスAエース)

「ああ…怖いんだ!
パターンを変えるのが怖いんだ!
未知の恐怖よりは知ってる不安の方が安心できるんだ?
自由でいるよりも何かに束縛されていたいんだ。
でもそれは間違ってる…間違っているから変えなきゃならない」

話のほうはもうグダグダもいい所で、作者コメントで原作者が「ここは助走部分だから見捨てるな!」と言い訳をしているくらいなのですが、マイナス方向への共感値だけは本当に高いのです。
佐藤君は実家でもダメダメで、家出して東京に戻るも家無しで。山崎はファーマーになるために実家に帰ることになり。岬ちゃんは学校に馴染めず、佐藤君の次のダメ人間を探し。先輩は早くも結婚生活の危機を。閉じた世界で繰り広げられるのはどうしようもないダメ人間達の終わらない輪舞。どうしようもないことも、何かしなければいけない事も、全部分かってても踏み出せない恐怖とか、そもそも自分の感情にさえ価値が見出せないのに何を信じればいいのかだとか、ただただ果てしなく沈んでいきます。解決への糸口を見つけたように見えても、結局それすら信じられずに自ら梯子を崩してしまうか、あるいは更なる悲劇に振り回されて崩れたり。でもなんだかそんなところに不思議と共感してしまうのです。ただ、この共感が得られない人にはただのダメ人間がグダグダしてる話なのでオススメできません。
さて、問題はこの先。超人計画では結局出口を見つけられなかった滝本竜彦が、このマンガ版NHKをどういう結末に導くのかが気になります。
巻末のTTERGは爆笑。発想がハイセンスすぎます。そしてなんだかやっちゃった感漂う初期設定を見て、回避した限定版を買っても良かったかなぁと少し後悔しました。
満足度:A−