ネクラ少女は黒魔法で恋をする 3 / 熊谷雅人

読んでいて柔らかい気分になれるのが素敵だと思います。
話は真帆が悪魔関連で困った人を助ける話としてパターン化されるのかな。今回は転校生の薄幸少女に悪魔がついていてさぁ大変といったもの。テーマは「幸せの形」で、衒いなく極めて前向きなメッセージが展開されていて、読んでいて明るい気分になれます。薄幸少女こと宮脇さんの健気さや、悪魔と契約してまで求める幸せの形の前に、自分がそれをどうにかしていいのか悩みながら奮闘する真帆の姿が良いです。前向きにはなってきたものの、相変わらず根の部分は断然後ろ向きなものだから、そんな自分を叱咤しながら一生懸命頑張ってる姿が魅力的なのだと思いました。
ただ、クライマックスのシーンはあそこまで大事をやっておいて、さらっと流されてハッピーエンドというのはどうかなと。著者の優しい視線が温かい空気を作っていて、そこが魅力のシリーズだけにあれだとうーんと思うところもあります。
あと、真帆を取り囲む人たちがいいキャラです。支えてくれる人たちも、部活の仲間もみんな根はいい人だなぁという印象。なんだかんだで姉思いの妹だとか、先生との掛け合いだとか、犬のような神門とか、部活の仲間とか、アドバイスをくれる古本屋の店主とか、虐められるゴブリンとか、そういう人々に囲まれていることが、幸せを噛み締め、人のために動くまでになった真帆の今を作ってるのだと思いました。会話や文章もなかなか面白いです。ドナドナには爆笑。
満足度:B+