- 作者: 相川有
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/11/24
- メディア: コミック
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今までの流れから行くともう少し先があるのかなぁと思ってたのですが、きっちり締めてきました。上羽関連の謎、尤翠との対決、銀次の兄の死の謎、そして幻想にケンカを売るという意味。全てが収まるべきところに収まった結末はなかなか良かったです。ただ、特に終わりの方は駆け足で淡々とイベントをこなしている感じもあって、少々盛り上がりきらなかった感も。もっと奥行きやタメがあると、より作品世界に読者を引っ張り込むだけの力があったかなぁという気はしました。
テーマは「幻想を壊すこと」で最初から最後まで一貫していた感じ。全ての謎が「幻想」という部分で繋がっていきました。一人で、あるいは皆で共有して抱く、こうであって欲しいという幻想。真実が別にあっても、くだらない幻想にすがらないと生きていけない人間、そしてその方が幸せであったりすること。銀次の選択は間違ってはいないし、それゆえのハッピーエンドだと思いますが、壊し続けて何も無いところまで行ってしまった姿も見たかったかなぁと少しだけ思いました。
上羽に関しては、ミステリアスで存在そのものが滅茶苦茶なキャラクターを少々強引ながらきっちり作品世界に着地させたという印象。なんだかんだで可愛かったし、キャラクターとしての魅力はありましたが、上羽の内面にもう少し切り込んでくれると良かったかなと思います。ただ、それはミステリアスさとの二律背反なのでしょうけど。
独特の設定と、芯ではどこか冷たい雰囲気が魅力的なマンガだったなと思います。
満足度:B+