GUNSLINGER GIRL vol.8 / 相田裕

GUNSLINGER GIRL 8

GUNSLINGER GIRL 8

気がつけばもう一期生はほとんど出てこない第8巻。
サンドロと義体2期性のペトラの師弟コンビの話に、昔サンドロの師だったロッサーナとの回想が絡んでくる話で、真っ当に裏の世界で生きる人々の物語になっています。少女の義体という飛び道具気味の設定は後ろに控えた感じ。
そしてこの物語が非常に面白かったです。スパイという職業からドロップアウトしたロッサーナと、彼女がスカウトしてスパイを未だに続けるサンドロの対比。そしてサンドロの弟子的な立場に来たペトラ。話の中で義体1期生には感じられなかった人間味が全面に出ていて、こういうマンガを書く人だったのかと感心しました。サンドロが今のロッサーナを見て抱いたであろう想いに複雑な気分になり、そのサンドロをなんとか支えようとするペトラなどは素直に素敵だなと思いました。
ペトラというキャラクターは今までの義体に無かった活き活きとした感情を見せていて、非常に魅力的に見えます。それでも彼女が義体であって過去も今も奪われた存在であることには違いないと考えると、感情豊かな分逆に残酷なのかもしれないと思いました。ロッサーナがペトラに投げかけた言葉に重みを感じると共に、ロッサーナが義体というものの事実を知っていたらこんな言葉をかけただろうかと思うとやるせない感じ。そして、サンドロへの愛を、検査としてたくさんの人の前で告白させられるシーンなどは、ゾッとするものがあります。それだけに、ラストのシーンにも複雑な思いになるのです。
満足度:A