ARIA12巻 / 天野こずえ

ARIA(12) (BLADE COMICS)

ARIA(12) (BLADE COMICS)

「あの頃は楽しかったじゃなくて、あの頃も楽しかった・・・よね」

幸せな時間は心の中に、かけがえのない今この時を。
AQUAから続いてきた物語もここでフィナーレ。前巻でアリスが飛び級のプリマ昇格を果たしたことで、押しとどめていた時間が堰を切ったように流れ出し、変わらないものがあって、変わっていくものがあって、藍華も灯里も明日へと歩みだす。思い出が幸せであればある程に、振り返ってしまいたくなる過去に後ろ髪をひかれながらも、素晴らしい現在とまだ見ぬ明日を素敵なものだと謳い上げる辺りは、このマンガがずっと描いてきたメッセージの集大成のよう。これが、この3月の卒業のシーズンに出たことは、本当にぴったりだと思います。
話の中では、やっぱり灯里のプリマ昇格シーンにぐっとくるものが。姫屋の二人にしてもARIAカンパニーの2人にしても、やっぱりこの上なく素敵な関係の2人で、3人娘や水の三大妖精の横のつながりもやっぱり素敵で、じゃあ素敵なマンガになる訳だと思ったり。
そしてラストシーンがAQUAの冒頭にリンクしているところはもう、分かっていてもやられてしまうような感じ。こうやって、ネオ・ヴェネチアの時間は連綿と流れていくのだろうなと、そんな風なことを思いました。