嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 絆の支柱は欲望 / 入間人間

上下巻構成の上巻に当たるみーまー第4巻。
まーちゃんがみーくんへの認識と記憶を整合できなくなって壊れ、みーくんはまーちゃんを直すための思い出の品を探しに旧家へ向かう。そこに住んでいた奇妙な一家に歓迎されたり歓迎されなかったりしているうちに、殺人事件(?)が発生。住宅街の中の一軒家で隔離された館ものミステリもどきが始まるというおかしな展開。
まともなキャラクターが出てこないのがさすがみーまー。一番まともに見えるのが、手帳で会話を試みる伏見だというのがなんとも。みーくんの元実家に住む大江家家の面々は、人格が崩壊していたり感覚がズレていたりとだいぶアレな感じでした。そんな中でもみーくんによく似た長女の湯女とみーくんの変な連帯感のある関係が面白かったです。
クローズドサークルのミステリ的な物語なのですが、地の文ですら虚実入り混じり、大事なことを語らなかったりするみーくんの語りから推理することはたぶん不可能な気が。文体は相変わらず嘘と余計なことに彩られて、普通に読もうとしても意味が通じなかったりと読み辛いのですが、これはこれで読んでいて楽しいのが不思議です。
今回はみーくんが傍観者の立場に立てることから、世界を諦めきっているようでいながら、どうしても世界に縛られているみーくんの立ち位置が素直に楽しめたような気がします。でもそれだけでは物足りなくもあるので、まーちゃん絡みの問題で、みーくん自身が問われるだろう下巻にも期待。
毎回思うのですが、この作者とは仲良くなれそうだけど友達にはなれない気がしてなりません。一から九まで嘘ですが。