- 作者: 淺沼広太,すまき俊悟
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2009/02/20
- メディア: 文庫
- クリック: 15回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
高校に入学して手芸部がないことにショックを受けて、衣装作りができるかもと見学に来たグダグダするばかりの弱小演劇部に流されるままに入部した双葉と、演劇部の仲間たちが繰り広げるユルユル日常ストーリー。
アグレッシブな感じの部活ではなく、個性の強いキャラクターたちがダラっとした感じで頑張ったり頑張らなかったり、恋愛模様があったりボイスドラマを録ったりととても温い感じ。そんな一貫したぬるま湯感がこの作品の味ではあるのですが、あまりにも何事も無さ過ぎて、あんまり面白味がないというのも確かなのが難しいところ。
ただ、私の場合この小説のキャラクターと文章のノリが、どうにもわざとらしく感じられてしまって合わなかったというのが、その辺りを楽しめなかった大きな理由かもしれません。こればかりは、合わなかったとしか言い様がない感じでちょっと残念。
そしてこの作品の肝となるある要素については一応ネタばれなので格納。
物語の途中で双葉が男の子ということが分かるのですが、双葉のキャラクターが見た目女の子、服装女の子、なにより心が女の子に限りなく近い男の子な感じのスーパーナチュラル女装少年で、「女装ネタ」ではなく完全なTGキャラとして描かれていてちょっとびっくり。
ここまでくればいっそ女の子でもいいんじゃないか的な立ち位置で、周りにもそういう風に受け入れられながら、そこをあえて男の子であることが作品に業の深さを与えているような感じ。女の子になりたい男の子の妄想! 的な何かを感じるというか。
そんな感じで、双葉に萌えるにしろ、双葉に感情移入するにしろ、これはかなりハードルが高いんじゃないかなと、いらない心配をしたくなる一冊でした。