ACONY 1巻 / 冬目景

ACONY(1) (アフタヌーンKC)

ACONY(1) (アフタヌーンKC)

待ち続けること早5年余り。ついに、ついにACONYの単行本が発売されました!
一目見たときから私の中で冬目作品最萌キャラの座をつかんで離さなかったアコニーさんが丸一冊分見られるというだけで非常に満足値が高いのですが、マンガとしてもシリアスになりすぎず、かといって薄くもならずの絶妙な力の抜け加減で、大変居心地の良いものになっていてとても良かったです。待ち続けたかいがありました。
話的には、母親が仕事で海外に出るため、祖父の住んでいる幽霊だの妖怪だのが住み着いたボロアパートに住むことになった主人公の空木とそこに住む「既に死んでいる」少女アコニーの交流がメイン。
完全にファンタジーなドタバタコメディになる訳でも、リアルでシリアスな妖怪ものになる訳でもなく、地に足の着いた日常の空気感を持ちながら現実離れした設定を展開している辺りが非常に読んでいて心地の良い感じ。
そして何よりアコニーのキャラが素敵です。黒い服に紫の髪で実年齢はもっと上なのに外見年齢は13歳のまま。ずけずけとものを言い自分から空木に絡んで引っ張っていくのに、不満なことがあると空木に怒ってみたりするワガママっぷりや、ずっとアパートから出ずに居たがための世間知らずさと社会性の無さを見せる反面、人とは違う存在として長く生きていることからくるどこか愁いを帯びた大人びた言葉や行動を見せ、自らの在り方に対する不安を覗かせるギャップが素晴らしいです。14歳の空木に対して年上ぶったり、意外とお茶目ないたずらをしたりするところもかわいい感じ。
そのアコニーの秘密については少しづつ情報が明かされていっていて、その部分が話に一本筋を通しているような感じ。日常部分をを壊さない程度にこういう要素を入れて話を引っ張るバランス感覚はさすがだと思いました。
謎についてはまだまだ隠された部分が多く、さあこれからというところで引いているので、ぜひ早く続刊を出してほしいところ。とはいえ、この作品のためならばまた5年6年と待って居られそうな私がいます。