ヒミツのテックガール ぺけ計画とスパイ大作戦 / 平城山工

相変わらずの暴走ノリが楽しい工学系(?)コメディ第2巻。
とりあえず面白そうだから調べる! 勢いで作る! できた! 動いた! ちゅどーん! なノリが読んでいて楽しいこと。技術と予算を持った無軌道暴走理系娘たちのドタバタを見ているだけで気分が明るくなってくる素敵な小説だと思います。
そんな2巻は開始早々に筑波音高専にすっかり染まりきったハルミの姿に、嬉しいやら哀しいやら微妙な気分になりつつも、入学式を桜餅の弾丸で吹き飛ばしたりとやりたい放題な幕開け。その後もハイテンションな展開が続きますが、本筋はヤナギと親父の親子の愛情モノ……らしく。いつの間にやら目的と手段がごっちゃになって筑波音転覆を図る発明家のご多分にもれずな奇天烈親父の奇行の前では、ヤナギがアホな父親に振り回される純情娘に見えてくる……ような気がするという不思議。でもそんな親父も実のところ娘を想っての行動……なのですが、それが曲がりすぎていて娘にちっとも伝わらないのもお約束といえばお約束。
そしていつの間にやら、筑波音のメインコンピュータの一つであるオックニヌシ争奪戦まで話は膨らみ、なんやかんや色々大変なことが起こって、ロケットパンチは火を吹いて、管理人のカンコさんは祈りをささげる、という壮絶なカオスが待っていたのでした。
そんな感じで相変わらず混沌としたパワーに満ちた物語ではありましたが、1巻に比べるとだいぶ読みやすくなって、話も追いやすくなっていたのは良かったです。ただ、すっきりししている分だけ色々語り足りてないような、まだまだ語れそうな部分があるような気もしたり。
そんな訳で、今後の校長と秀の邂逅とか、ラブと縁のなさそうなこの作品でラブコメ時空を展開していたヤナギと究太郎の行方とか諸々今後の展開に期待しつつ、続刊を待ちたいと思います。
それにしても話のモチーフが「じゃりん子チエ」って、これいったいどの層をターゲットにした作品なのでしょうか……?