魔法先生ネギま! 27巻 / 赤松健

魔法先生ネギま!(27) (講談社コミックス)

魔法先生ネギま!(27) (講談社コミックス)

「コタロー君、彼らは僕らを侮った。……ここまでが限界だと見誤ったんだ。
 僥倖だ。この勝負、僕らが勝つ」
「は、言うようになったやないか、ネギ!」

vsラカンで丸一冊という、バトルマンガの方のネギまな27巻。
こちらの世界に来てからの師匠であり、なおかつ自分が追いかける父親と並んで闘った英雄であるラカンとの勝負。明らかに格上の者としての余裕の態度を見せるラカンを本気にさせたネギの見せる力と、真っ向勝負では勝てない勝負に勝つための戦略。惜しみなく繰り出す切り札。勝てそうと思わせておいて正面から潰し、そこから這い上がってきての決着。そして意地の張り合いのような殴り合い。
絶対的な意味を持つ相手とネギの勝負は、あざとすぎるくらいに盛り上げる要素を詰め込んで、パワーインフレするバトルのカタルシスを見せつけてくれるような展開でした。その上細かく書き込まれた絵も上手いんだから凄いと思います。シンプルにワクワクするバトルでした。
そんなネギをこの舞台で立ちあがらせたのが、絶対に主役にはなれないトサカの捻くれた感情、そして「ナギ」に恋をしていたやっぱりネギま!ヒロインの中では脇役でしかない亜子の想いというのがまた憎い感じ。ナギ=ネギの真実を知っても、自分の想いを真っ直ぐにぶつけた亜子との約束が、桁外れの化物であるラカンと同じステージへネギが自分らしいやり方で手を伸ばす力になるというのは、王道展開でグッとくるものがありました。そして亜子は本当に良い子だなと。幸せになって欲しいキャラクターです。
勝負の決着によって次への扉を開いたネギ。ここからのフェイト達との闘いは厳しいものになるのでしょうし、アスナを巡る物語も一気に動きそう。さらにはネギ本人も不安を抱えたままではありますが、この先の彼らが掴み取る未来を楽しみにしていたいと思います。
それにしても、つくづく10歳の子に背負わせるような運命じゃないなとは思いますが!