- 作者: 井上堅二,葉賀ユイ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/02/27
- メディア: 文庫
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バカテスはキャッチーで魅力的なキャラクターとラブだったり友情だったりするその関係性が大きな魅力を占めているシリーズだと思っていて、短編集になると特定のシチュエーションで存分に発揮されてくるような印象。その存分な発揮具合が、どんどんキャラクターを暴走させて性別的フリーダムを引き起こしていることに、大きなストーリーが無くもはやテストも召喚獣もほぼ関係ないという割り切りも相まって、どこか公式二次創作的な印象もあります。
そしてこのキャラクターたちの突き抜け具合、今までは色々オープンなだけかと思っていたのですが、ここに来ていよいよこいつらはただの変態なんじゃないか疑惑すら芽生える領域に。そんな中でも今回特に輝きを放っていたのが姫路さん。シリーズ開始時の常識人ぶりは今や昔、冒頭から明久&雄二に脱衣トランプ対決を仕掛け最後の一枚になっても引かないと宣言しつつ、しきりに明久に女子制服を着せようと迫ったかと思えば、天然殺人料理で吉井家の食卓を恐怖で染め上げる大活躍。召喚獣が本音をしゃべってしまう事件の時の反応と言い、鈍感すぎる明久への好意が捻れて漏れ出してなんだか大変な事になっています。でも、個人的には明久を押し倒して女装させるくらいの勢いじゃないと姫路さんじゃないと感じるようになってきてしまったので、今回の活躍ぶりは大変素晴らしかったと思います。そして次巻へのまさかの展開。年頃の男女が一つ屋根の下展開で、男の子の方逃げてーと思うのは……それもありか!
さらに最後には美波が日本に来たばかりの頃の明久との出会いの話。美波が明久に惹かれる理由となっている出来事は、コミュニケーションの問題で孤立して悩んでいた時に、バカだけどこんなに裏表のないまっすぐな優しさを見せられたらそれはねという感じ。でも、ここから美波の逆襲が、というには姫路さんが余りにも(別の意味でも)強大になりすぎてしまった気がする今日この頃なのでした。
そんな感じで読んでいて非常に楽しい、これぞキャラクター小説な魅力の詰まった短編集でした。そして、もう流石に女装ネタはお腹いっぱいかなと思っていたところにラストのイラストが……!