- 作者: 城平京,左有秀,彩崎廉
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2010/02/22
- メディア: コミック
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はじまりの樹と絶園の樹、鎖部という魔法使いの一族、失踪した高校生真広、殺された彼の妹、その妹と恋仲で真広の友人だった少年吉野。妹を殺したものへの復讐を誓った真広と鎖部一族の内乱によって無人島へ流された一族最強の魔法使い葉風。その二人の出会いによって動き始めた魔法使いの物語に、吉野が巻き込まれていくという王道展開を見せながらも、一つずつ設定を語り、この世界のルールを語り、その繋がりを描く共に盤面にコマを配置していくような手つきは正しく城平京の作品という感じ。
制限された魔法と、無人島に隔離された葉風という最強のコマを活かして、鎖部一族への闘いを挑む智略重視の魔法バトルものとしても楽しめますし、芝居がかった台詞回しやシリアスなのにすっとぼけた味わいも魅力的。でもそれ以上に、今配置されている構図が明らかに虚像にすぎないことがそこかしこから違和感として伝わってくる辺り、この先待ち受けているであろうどんでん返しへの期待感が高まる1巻になっていました。
いきなり1つの違和感について前提をひっくり返すようなラストの引きは、そんな期待感を煽るに十分。現状で見えているシンプルな構図がダミーに過ぎないとするならば、この物語の本質はどこにあるのか、続刊が楽しみです。