僕は友達が少ない 3 / 平坂読

僕は友達が少ない 3 (MF文庫J)

僕は友達が少ない 3 (MF文庫J)

隣人部の面々はリア充ではないのかもしれませんが、こんなに楽しそうならもうそれでいいじゃんと言いたくなるような第3巻。
これまで以上に賑やかで、相も変わらず残念な隣人部メンバーが、海辺の別荘で合宿をしたり、プールに行ったり、夏祭りに行ったりと夏休みを満喫。そう書くと大変リア充的空気を醸し出しますが、性根が残念な人ぞろいの隣人部メンバーの手にかかれば、何故か全体的に残念な感じになる不思議。とはいえ、本人たちは十二分に楽しそうですし、友達ではないのかもしれませんが確実に仲間にはなっているし、これはこれで大変うらやましいものだと思ったのでした。
このシリーズの魅力は、ノリというか発想というか、この残念な人たちの言動や行動にむやみやたらとシンパシーを感じるというか、むしろデジャヴュに近い何かを感じることなのかなと思います。キャラクター自体は非常にラノベ的なのですが、なんとなく身に覚えがあることを言ったりやったりしているので、それがどんなに残念であったとしてやっている本人たちがどれだけ楽しいかも分かる、みたいな。そういう意味では、作者の前作「ラノベ部」がラノベ好きのための小説だったのに対して、「はがない」は残念な人のための小説なのかもしれないと思いました。残念な人にしか分からない楽園がここにはある! 的な。
キャラクターも、強がってはみてもやることなすことダメな感じの星奈がなんだかんだで可愛かったり、中二病っぽく振舞おうとしてもすぐに地が出る小鳩もやっぱり可愛かったり、アホの子全開なマリアもそれはそれで賑やかで良かったりと、完膚なきまでにダメ人間揃いなのに魅力的。この辺り、作者はダメ人間を愛すべき存在として描くのが上手いと思います。
そして星奈のお宅訪問にラストの展開と小鷹周りのラブ濃度も俄然上昇中。このシリーズにそれを期待するのかという感じが無きにしもではありますが、ここまできたら期待して次の巻を待っていたいと思います。