ベン・トー 5.5 箸休め〜燃えよ狼〜 / アサウラ

色々あったはずでも、読み終わったら白粉恐るべしな印象ばかり残ったベン・トー短編集。学園祭の話と著莪主人公の謎ファンタジーの2本をメインに、いくつかの掌編と筋肉刑事のあらすじを加えた1冊になっています。
著莪の学校の学園祭の話では、ドレス姿の先輩とかあせびちゃんの殺人弁当とか見所は色々あったはずなのに、警備員のおっちゃんと佐藤の繰り広げる筋肉の共演からまさかのドッキングに白粉がキターな展開しか記憶に残らないマジック。特に、細マッチョ&太マッチョの融合に対する超反応は、人類の枠を超えたなにか別のものの存在を感じるに十分な迫力でした。
他の話では、著莪の前提が全く分からないまま始まるファンタジーが苦痛だと思っていたら案の定なオチが待っていたり、佐藤と著莪が仲良し過ぎてもうなんだそれと思ったり、筋肉刑事のあらすじが無駄に面白そうでちょっと悔しかったりという感じ。そして掌編の中では、「白粉花の夏休み」がすごく良かったです。
筋肉メインのオリジナルBL好きな白粉のネットでの執筆活動とか、コミケ的イベントへの参加、そしてある決心が語られる掌編で、好きなものを追いかける事の楽しさ、そして自分をさらけだすことを恐れていた少女がHP同好会での活動を通じて手にした勇気で、自ら扉を開けて進んで行く様が素敵でした。思わず、白粉を応援したくなるような短編だと思います。
そんな感じにいつもよりも筋肉密度がさらに高めでお届けな1冊。面白かったとはいえ、若干この作品がどこに向かっているのか心配になりましたが、そこは短編集なのでそういうのもありということで。