バカとテストと召喚獣 8 / 井上堅二

バカとテストと召喚獣8 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣8 (ファミ通文庫)

色々なものがエスカレートして止まらなくなってきたバカテスです。
姫路さんと明久が一つ屋根の下というまさかの展開で幕を開ける第8巻は、異端審問から逃れるためにその事実をひた隠しにしようとする話だったはずが、気がついたら誤解が誤解を呼んで明久が色々と大変なことに。姫路さんとの同居を妬まれるばかりか、木下姉弟に好かれていることになったり、雄二と噂になっていたりと、突然のモテ期(半分誤解)が到来して追い回される明久というドタバタ劇に発展していました。そして霧島さん絡みで雄二もいがみ合いつつ一緒に追いかけ回されているというとても案の定な感じ。
しかしこのドタバタ劇、相変わらず性別がフリーダムというかなんというかバカテスらしい展開。そしてその中心に登場した新キャラの玉野さんが、アキちゃんが大好きで明久に迫るという自分の欲望に素直な歪みっぷりを発揮していて凄まじかったです。暴走キャラの多いバカテスですが、ここまでのキャラは今まで無かったんじゃないかと思いつつ、それでも不愉快な感じにはならずにネタとしての面白さ、賑やかさや可愛らしさが先にくるバランス感覚はさすがだなと思いました。それにしても、女子のほうが積極的なことに定評のあるこのシリーズではありますが、控えめに見積もってもこの学園には(変態という名の)淑女が多すぎる……。
そしてこのキャラクターの組み合わせと美味しいシチュエーションでどこまでもテンションが上がっていく作りと、縦横無尽なカップリングに女装ネタ推しっぷりは、すごく公式が二次創作っぽい感じがしました。それは同人誌でやる内容では……と思ったり思わなかったりしつつ、でも軽々とそこまで踏み込んでしまうのがこの作品の面白さなんだろうなと感じていたり。
ストーリー的には、明久と雄二が散々追いかけ回される状況で試召戦争に突入という話もありつつ、個人的に注目だったのは姫路さんの積極アピール。今までも色々な意味で十分積極的ではありましたが、明久と同居というシチェーションに加えて明久に妙な噂がたったこともあってか、いつも以上に正攻法で捨て身のアタックを見せてくれていて、特に最終問題は読んでいてニヤニヤものでした。「姫路さん行っけー」と思いつつ、女の子にここまでやらせて明久がどう答えてくれるのか、9巻がとても楽しみです。