ゴールデンタイム2 答えはYES / 竹宮ゆゆこ

なんというか大学生だな! という感じの第2巻。
柳澤が香子をフって、香子は万里をフって、微妙な関係になりつつも続く大学生活。無理やり切り替えようとして万里と親友宣言をする香子の極端さも、そこになんとなく期待感を持ってしまう万里も、なんとなく分かってしまうのが絶妙に痛いです。
そしてサークル活動があったり、履修を決めたりしつつも、相変わらず酒を飲んでやらかす進歩の無さもとても大学生的。アルコールの勢いに乗せて剥き出しでぶつけ合う生の感情が、その不器用さや未熟さからくる痛々しさ込みで、実に青春な感じです。それぞれが自分の中で消化しきれないままに感情をぶつけ合ってもつれる関係、そうやって血を流し合って泣いて笑って叫んで暴れてあー青春! みたいな何かがここにはあると思います。
とらドラ! がもどかしい高校生の青春模様だったとすれば、この作品はもどかしさはあれどそこは大学生。ぶつけ合う感情の生っぽさも、変わっていく関係の早さもずっと上で、だからこそ居心地のいい青春的な雰囲気は控えめ。それは青春小説として楽しむにはどうなのかとも思うのですが、なにはともあれ展開は早く、香子と万里の関係は次の段階へと移っていきます。
完璧を取り繕って不安定な内面を押し隠してきた香子が寄りかかれる唯一の存在である万里。それが他に頼れる人がいないから甘えているだけかもしれなくても、彼女は今の自分に嘘をつかずに一歩を踏み出しました。そして記憶のない万里は香子に惹かれながらも、自分とリンダの間にあった過去に引きづられて、リンダはリンダでそんな過去を押し込めて先輩後輩の関係を作ろうとする。柳澤は千波に惹かれながら、今まで自分を追いかけてきた香子が万里と仲良くすればいい思いはしない。読めば読むほどお前ら本当めんどくさいなと思うことしきりですが、全然完璧なんかじゃない彼ら彼女らの人間関係を覗き見るような楽しさもあって、この先の展開が楽しみです。
個人的には岡千波の小さくて可愛くて顔は広いし愛想もいいけど、人間関係割り切っているところが好きです。本筋とは何ら関係の無い話にはなりますが、変に勘違いした男共をバッサバッサと切り捨てるところが見たい!