魔法少女リリカルなのは MOVIE 1st THE COMICS 2巻 / 都築真紀・長谷川光司

お互いの想いを背負って、力と技の限り真正面からぶつかって、そして分かり合う。そんな少年マンガ敵素晴らしき王道を魔法少女でやり切るという、このシリーズの魅力がギュッと詰まった一冊でした。
なのはとフェイトがプレシアの事件を通じて友だちになれなかったif展開でのコミカライズ後編にあたる第2巻。模擬戦という舞台で闘うなのはとフェイト。フェイトの背負ってきたものとその過去。それがなんだったのかをもう一度見つめ直すためのリニスの日記には、プレシアとフェイトの間で二人の幸せを願ったその愛情に胸が熱くなりました。そしてなのはが背負ってきたもの。彼女がフェイトに対してどうしてこうも懸命の手を伸ばすのか、その理由となる家族の事情。
自分に意味があるのか、自分に何ができるのか、そんな似た想いを抱えた二人がすれ違ったままで始まった模擬戦で、なのはの予想以上の闘いぶりがフェイトを本気にさせ、その中でお互いを分かり合っていきます。真正面から気持ちをぶつけ合って、言葉をぶつけ合って、届かなかった心の深いところに、喰らいつくように手を伸ばして。頑なだったフェイトの心を開いた、なのはの強い気持ち。お互いの全力をぶつけ合う闘いの中で、その気持ちをすべて詰め込んだような最後の一手、収束砲撃スターライトブレイカー
ライバルが一番の親友になるかのように、お互いをぶつけあう闘いの中で、二人の間に芽生えた友情だから、それが終わったあとのシーンでかわす二人の言葉には思わずうるっとくるものがありました。フェイトが一方的に救われる話ではない、フェイトの感謝の言葉がなのはに届いたときになのはが見せた反応。それがこの二人の関係を特別なものだと感じさせてくれてとても良かったです。
大技と奥の手でぶつかりあう戦闘シーンの迫力、その格好良さ、そして素顔の二人の友情、その可愛らしさ。全ての暗闇を吹き飛ばすような、子供たちの真っ直ぐさ。魔法少女なのに少年マンガ。可愛くてカッコいいというなのはシリーズの魅力に満ちた、そしてなにより、キャラクターたちの生き生きとした表情から、このシリーズに対する作者の思い入れが伝わってくる良いコミカライズ作品でした。とても面白かったです。