にがくてあまい 2巻 / 小林ユミヲ

にがくてあまい(2) (エデンコミックス)

にがくてあまい(2) (エデンコミックス)

イケメン男色家と独身キャリア女の同居もの第2巻。
1巻はマキの抱えた問題が描かれていましたが、この巻では渚の方が抱えている問題がメイン。母親との関係、兄との関係。渚の抱えた家族との間のいざこざとか、抱えてしまった罪悪感とか、彼を縛っていたそういうものをミキとミナミの二人が強引すぎるくらいに強引な、でも彼女たちらしいやり方で吹き飛ばすのが素敵でした。そのマキに対しての、渚の素直じゃない感謝の表現もまた良くて、なんだかんだ言いながらこの二人は相性がいいなと思います。
この作品は、社会からちょっと外れた人たちが寄り添い支えあって生きている、そこにある優しさみたいなものが素敵だと思います。それぞれに抱えた傷みたいなものを、ひとりじゃないから不器用ながらに癒していける。そしてその中心に野菜料理があるというのが雰囲気にあっているなと。それはともすれば、弱者同士の傷の舐め合いにもなりかねないし、それが都合よく優しすぎるように見える部分もあるのですが、個人的にこういう人の優しさとか許される瞬間というのがすごくツボなのでした。
マキの明け透けでちょっと肉食入った感じで、でも色々不器用でダメなところは可愛くて魅力的に感じますし、ゲイの渚との関係も恋愛にはならないけれどお互い居心地は悪くなさそうで面白い感じ。マキの方はベタぼれでもはや襲っちゃいかねない勢いなのに恋愛関係にならなくて、でも二人寄り添って生きている様子はなんだか変な関係で、でもすごくあたたかで柔らかなものを感じて好きです。少しづつ、でも確実に動いているように感じる二人の関係の行く末にも注目したいなと思う一冊でした。