絶望センチメンタル / 朽葉屋周太郎

絶望センチメンタル (メディアワークス文庫)

絶望センチメンタル (メディアワークス文庫)

妙に冷めた小学生の男の子と、やることが滅茶苦茶な女子高生。ある目的のために動く男の子に、面白そうと女子高生がついていくような形で、二人の奇妙な旅が始まって、というお話。
当たり前の基準が壊れてしまった、何かもう取り返しのつかなくなってしまった、そんなところから始まって、全てがもうこうなるしかなかったんだろうなという具合に進んでいくような感覚。小学生も、女子高生も、どこか狂っていて、だけど歳相応の非力さとか、甘えとか、視野の狭さしかなくて、けれどもう引き返すこともできなくて。散漫とした絶望の中で、過剰に感傷的に綴られていく、まさにタイトル通りな二人の旅とも言えないような旅。
お話としては、もうそうなるようにしてそうなったとしか言いようがなく、構成も文章もキャラクターもエンタメ的に完成度が高い訳ではなくて、ぶつけたかったものをざっくりと切って投げ出したような印象。でもその粗さ含めて、これは若くないと書けない何かなのだろうなと思ったりしました。
読み終わった後には、なんとなくすっきりしない感じとむなしさが残って、でもあとがきを読むに、それは作者の意図した所でもあるんだろうなと感じました。これは多分、この感覚を味わうための作品で、こういう読書もたまには悪く無いと思います。