3月のライオン 7 / 羽海野チカ

3月のライオン 7 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 7 (ジェッツコミックス)

もう言葉も出ないくらい素晴らしくって、とにかく読んで欲しいとしか言えなくなってきました。
ヒナのいじめ問題。修学旅行先で一人ぼっちで苦しんでいたヒナに零の差し伸べた手が。新しく担任になった先生の言葉が。お姉ちゃんの家族を背負った頑張りが。何もかもすっきりはさせなくても、少しづつ状況を溶かしていくような。手を出せなかった先生もいじめていた子も、ただ単純な問題ではなくて、それでも苦しんでも闘い続けた女の子がここにいた訳で。張り詰め切っていた時間を過ぎて、全て終わった後の暖かく柔らかい空気がほんとうに印象的でした。
なにもかもいいことばかりではなくて、生きていけば悪い時間はあって、でもまた良い時もやってきて。そのきっかけを、沈みきった時にだって与えてくれるのは、誰かの差し伸べた手であり、気持ちであり。一人ぼっちだった零の周りに人が増えていったように、独りきりで戦っていたヒナのために頑張る人たちがいたように、そういうふうに、私たちの世界はできているんだと。苦しいことも楽しいことも悲しいことも優しいこともあって、人が生きていくってそういうことなんだよって思えるような、そんな一冊だと思います。ここにこめられた言葉と気持ちに、本当に本当に心を動かす力がある、素晴らしい作品だと改めて感じさせられました。