しずまれ! 俺の左腕 / おかもと(仮)

しずまれ! 俺の左腕 (このライトノベルがすごい! 文庫)

しずまれ! 俺の左腕 (このライトノベルがすごい! 文庫)

プロローグを読み始めてすぐに「え、こいつリア充じゃん」と思い、そして「リア充爆発したあああ」と思うまでわずか数ページというバッチリな掴みで始まるのは、左腕に魔王(超美人)が取り付いてしまった少年の物語。
魔王と言いながら左手を操ってネトゲをしたり、動物を撫でることに目がなかったりする魔王と、左手と魔王の暴走から周りの人を守ろうとするあまり邪気眼になって周りにドン引きされる主人公(だけど大真面目)という、ちょっとズレた二人を中心としたラブコメディで、大真面目なようで何かがおかしい文章が面白かったです。淡々としているようでしれっと混ざっている何か、みたいな。
そこからは魔王に惹かれてしまう主人公の頑張り的なものだったり、受験戦争に敗れてノイローゼになりかけの勇者(超強い)だったり、あまりにも不憫な物理攻撃系幼馴染だったり、魔王の呼び出した触手が大暴れだったりと、王道展開に何か想定外なものをてんこ盛りにしたような感じ。ただ、その余分を取った話は、魔王に惚れて突っ走る少年と、その勢いに押されてだんだんデれていく少女という、ちょっとオーソドックス過ぎる話ではあったかなとも。個人的には、本筋の部分ももう少しぶっ飛んでいてくれた方が面白かったかなと思いました。
そんな訳で、このギャグセンスがツボにハマれば楽しめる一冊。私は勇者赤井川さんのダメそうでダメな感じが好きです。