それは私と少女は言った / タカハシマコ

それは私と少女は言った (KCx)

それは私と少女は言った (KCx)

圧倒的な美少女。特別な存在。その駒沢鳥子は小学生の時に自殺した。クラスメイトの少女たち前で。そして、高校生になった今同じクラスに集まった少女たちの元に、駒沢トリコのブログのアドレスが一斉にメールされて、というお話。
鳥子人いう少女はあまりに特別で、それは彼女自身がどうであるかを超えて、彼女と向き合った人たちの心に自分だけの鳥子像を築きあげていく。だから彼女たちにとっての鳥子の存在は、彼女たちの生き方を決めてしまうくらいに大きくて、心の中から引き出されるものは決して綺麗な好意であるはずなんてなくて。ただの少女であったはずの鳥子を置き去りに、憎み、憧れ、模倣し、崇拝し、比較して、鳥子と言う存在は毒のように心を侵して広がり、そして今ここで飽和する。
可愛らしい見た目とは裏腹にどこか暗く湿りけのある、それと同時に仄暗いカタルシスを感じるような、そんなタカハシマコらしい一冊でした。