ファウストなう / 飛山裕一

ファウストなう (このライトノベルがすごい! 文庫)

ファウストを下敷きに、美少女な悪魔に押しかけられた高校生平原不破人の奮闘？ を描くたぶんコメディであっていると思うお話。
美少女悪魔の落ち物的展開を予想して読んでいると、押しかけられたまでは想定の範疇で、学校に転校してくるのも予想の範囲内で、そして現れたのが力士で頭の中に盛大に飛び散る？マーク。という具合に何かがおかしいシュールな展開目白押しな小説なのですが、なんだか良く分からないうちに気がつけば友人を救うための不破人の奮闘だったり、嫌がらせめいたことをする悪魔であったり、女体化してる割にそんなにドキドキ展開でもなかったり、意外とモテているラブコメ展開だったり、不破人が気力を失った原因だったりなんのかんのがまとまって、熱いクライマックスを迎えるこの不思議さ。
シュールギャグであることは間違いないと思うのですが、それにしては真っ直ぐなストーリーもあり、最後まで掴みどころのない感じの話でした。文章は読みづらいというか、前後上手く繋がっていないような気がして把握しづらかったのですが、最後まで一定のリズムではあるのでこういう味なのかも知れず、飛び飛びに思える展開も考えてみると抑えるところは抑えている様に思えて、なんというか周波数が上手く合わずに受信失敗しただけなのかなという感覚が残った一冊でした。とりあえずデブは金網に挟まった、確かに。