ロゥド・オブ・デュラハン / 紫藤ケイ

ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)

ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)

死という運命そのものを弄ぶ死術師たちが歪めた命を、あるべき形に戻すように狩り続ける精霊デュラハンの少女リィゼロットと親しくしていた領姫の死の真相を追う中で傭兵アルフォンスの物語。
冒頭から血と暴力が溢れて生への執念と歪んだ死の形が押し寄せるようなダークファンタジーなのですが、どうにもこうにも文章が合わなくてちょっと辛かったです。格好いい言葉やもったいぶった言い回しを使おうとしているのだとは思うのですが、単純に読みづらい以上に、どこか淡白で起きていることの表面の部分しか伝わってこないような……感じが……。物語自体は生と死をめぐる想いの強さが分かるものなのですが、どうにも遠くから引いた視線で見ているような気分になってしまうのが残念でした。
ただ、ラストに向けてのリィゼロットの過去、そして行なってきたことと今為すことを描いた部分は良かったです。数えきれないほど罪を重ねてきた方だったリィゼロットが、逆に今デュラハンとなって在るべきではないものを狩っている。その罪と罰、そして贖罪が非常にシンプルな結論に至る流れには、単純だからこその力強さがありました。贖い切れない罪が消えないように、重ねてきた徳も消えることはない。それは全く別の話であって、まだデュラハンとしてこの世界に在り続ける彼女が前に進む確かな理由と成りうるのだと。