SatanDayNight / らきるち

SatanDay Night (KCG文庫)

SatanDay Night (KCG文庫)

表紙デザインに惹かれて読んでみた一冊。KCG文庫ということで、元々は投稿型電子書籍サイトE★エブリスタの人気コンテンツが書籍化されたものになります。
祖父の犯した罪により追われ続け孤独に生きてきた魔導師の少年が最後に手を染めたのは異世界の魔王召喚という儀式。ただ、呼び出された魔王はどう見ても少女で、非常に人間的で、しまいには「正義の味方になろう」と言い出すようなやつで、というお話。
迫害され続けた者たちの寄り合いホームコメディだったり、ファンタジーらしいバトルだったり、腐った警団とそこにやってきた双子の騎士と魔女だったり、オーソドックスながら魅力的な要素が多くてなるほど人気作と思ったり。ファンタジー世界もしっかりしているというか、分からないことを思い込みで大見得切って書いたりしなくて、すごく等身大で地に足のついた感じが好印象。色々と事件はあるのですが、あくまでも主人公のクロン目線で、どこかずれた魔王セイとの愛すべき日常が描かれているような感じでした。そしてその日常の柔らかさが、この作品の魅力なのだと思います。
ただ、ちょっと文章的に読みづらさがあったり、どこか平坦な感じというか、もうひと盛り上がりあってほしかったかなというところもあったり。そういう意味でも、投稿サイトからの書籍化らしい作品であったのかなと思いました。