ヴォイニッチホテル 2 / 道満晴明

ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

1巻で読んでいた時よりずっとちゃんとストーリーが進んでいるんだなあと感じた2巻。とはいえ、このホテルを巡るお話は大きな流れすら掴ませてくれなくて、なのにあちこちに飛ぶ視点はそれぞれの物語を結んで、そしてあっさりすぎるほどあっさりとキャラクターが退場していく。何を考えているのか掴めないエキセントリックなキャラクターたちが生み出す、どこに行くのか全くわからないのにこの世界に浸っていたくなる空気。感傷的にだってなりそうな出来事ですら、サラサラと流れていって、でも決して上品な訳ではなくて(むしろかなり直球に下品でもあり)。
どうしてこれがこんなバランスでこうやって成立しているのかわからない、読んでいると、白昼夢のような、道満晴明ワールドとしか言えないものに、思わず呑まれてしまうような一冊でした。相変わらず素晴らしかったです。