下ネタという概念が存在しない退屈な世界 3 / 赤城大空

とりあえずまずこの試される表紙はどうにかならなかったのですかね!! とか思っている時点で読む資格が無いと言われているのかもしれない一冊。イラストよりどちらかと言うと文言の方が危ない気がします!
群れた布地騒動の後、SOX一同が訪れたのは朱門温泉。綾女の育ての親である撫子の元、SOXの面々への特訓が始まりという展開で、特訓が混浴風呂だったり露出だったりするもう何が何だかという世界が展開されるのですが、特訓→勝利というシンプルな構造にはならないのがこの作品らしい所。
SOXという下ネタテロ組織の理念は、4大下ネタテロ組織にとって決して都合のよいものではないという利権をめぐる確執が表面化すると、事態は4大シモネタテロ組織vsSOXへと。表現規制による統制を狙う体制側の組織との争いではなく、テロ組織側の争い、しかもそれが理念ではなく生々しい利権に端を発するものであるというのが、そういう展開を持ってくるのかという驚きがありました。SOXが語る自由な世界という理想論の青さをどこまで貫いていけるのか、またそれは貫くことで何を変えられるものなのかというのが問われるような展開だなあと。
そしてそこに狸吉に惚れている昔の友人が出てきたり、乙女先輩への懐柔があったり、こちらはこちらで勝手に動く鼓須理がいたりと、上巻ということで色々な動きが。正直色々と複雑に動きすぎていて少々ごちゃっとしている印象はあるのですが、そこは下巻で綺麗に収束することに期待。
そして相変わらずの下ネタマシンガントークに地の文まで含めて、声に出して読みたくない日本語は絶好調。個人的にアウトなラインのものもちらほらとあったりもするのですが、それでもこのキレと圧倒的物量はやっぱり凄いなと思うのでした。才能、というか。