ロストウィッチ・ブライドマジカル / 藤原祐

藤原祐×椋本夏夜現代学園異能ものでタイトルがこれだったら面白くないはずがないじゃないですか! というこれぞ藤原祐な一冊でした。とりあえず「レジンキャストミルク」が好きだった人なら何も言わずに読めばいいと思います。ここに読みたかったものがあるはずなので。
『魔法の国』での女王の死から、『女王の器の欠片』は鍛冶目山市周辺に住む少女たちの身に宿り『魔力』をもたせ、それをひとつにして女王を復活させるため魔法の国の住人たちは『体現者』として少女たちと契約して彼女たちを『魔女』にする。そして始まるのは『魔女』たちによる殺し合い、『女王のための統合戦争』。
精神体である『体現者』は形を持った何かに宿りマスコットとなり、それと契約した少女たちが魔法を操る。つまりは魔法少女バトルロイヤルものになるのですが、設定からキャラクター、そして展開に至るまで、このゾクゾクするような綺麗な悪趣味さはこの作者ならでは。魔法の根源にあるのが罪であり、その『固有罪科』を元に行使される力で闘う少女たち、そしてその能力の中身も使い方もなかなかひどくて素敵です。希亜と舞衣子のペアの中にある、擬似家族的な信頼関係とそれが故の魔法の行使方法とか、本当にらしくてもうね! という。
主人公ペアが見せる真の力のカタルシス、ひらがなにカタカナのルビをふるようなセンス、そしてああこの子はこうなるのだろうと思ったものがそうなるストーリー。私の好きな藤原祐だなあと思うことしきりな新シリーズ一冊目でした。物語の背景にあるものは主人公たちが思っているほどに単純ではなさそうで、この先どういう展開になっていくのかとても楽しみです。