バカとテストと召喚獣 12 / 井上堅二

そうだよ、それでこそこのバカどもだよ! と快哉を叫びたくなる最終巻でした。
11巻と上下巻構成のこの巻の前半までは、高城先輩という非常に憎たらしいキャラクターの存在と、それによってうじうじと悩む明久の姿にフラストレーションが溜まるというか、なんでだよ信じてやれよと別の意味でバカと言いそうになる展開。
ただ、それを吹っ切ってからの勢い、そして仲間たちとの絆と信頼はそこまでが消化不良だったぶんの爽快さがありました。この馴れ合いではない友情、罵り合いながらも命は預けられる関係こそがFクラス。このフィナーレに相応しい、彼ららしい姿を存分に見せてくれたと思います。そしてムッツリーニが格好良すぎてヤバいです。なにあれ。
それから恋模様の方も一応の決着を。どこにも付け入る余地のない本命カップルという感じではありますが、明久を立ち直らせた美波の言葉の素晴らしかったです。こちらも格好良い。
それから中盤からのバカテストの演出の小憎たらしさったらなかったです。キャラクターの状態や成長を現すような設問と回答から、物語のテーマのど真ん中を撃ちぬくような第二十問に、似たもの同士だった彼と彼女の気持ちがついに重なる瞬間を見たように思いました。