- 作者: 藤原祐,椋本夏夜
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2014/01/10
- メディア: 文庫
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ただ単純に酷い話であれば眉をひそめたくなったり手を引いてしまったりするだろうし、グロかったり鬱展開するだけでは決して面白くなるわけではない。そのギリギリアウトのラインで最高に楽しめる悪趣味さを提供してくれるシリーズというか、読んでいて思わずうひひと変な笑いが出てしまうこの感じが最高です。
まずもって罪を基に行使される力を使い最終的に一人がけが勝ち残る舞台に立たされた魔女たちに幸せな明日が待っているわけが無いのですが、それでもその中で見える人と人の繋がりが、僅かな希望でも決して離すまいとする意志が輝くのです。そしてそれをあざ笑うかのように潰されて、それでもかすかな光だけは消えることがないこのさじ加減。関姉妹の関係と耶麻音の行動なんてそりゃあうまくいかないだろうと思っていても、うひょーとなる訳で。
そして予想を何度も裏切られるような構成も面白かったです。こじれにこじれていく(しかも悪い方向に)問題なんて、まるで些細な事であったかのように最後の最後に現れる彼女の圧倒的な存在感といったら。
それから関栞のキャラクターが好みにストライクで私の趣味がわかりやすすぎました。寡黙で賢く喋れば口の悪いゴスロリで強い力を持っていて実は友達想いとか狙われすぎていてもう。彼女の魔法である『ゼンマイ仕掛けの羽化<スペクトラム>』も素晴らしかったですし、そもそもこの無茶なルビとどれもチート級な魔法と振り切れてる呪文詠唱が最高でした。それとこのシリーズ、基本的に相手の能力がわからないことを基本にしながら一撃必殺の能力が多いため、本当に予想がつかないバトル描写になっているのが面白いところかなと思います。
そんな感じで滅茶苦茶好みとしか言いようがないシリーズ。特に『レジンキャストミルク』が好きだった人は何も言わずに読めばいいと思います。あと、レジンで叶わなかったアニメ化を私は待っている……!!