ライコネンの熱帯魚 完全版 上下 / 山西正則

1巻が発売された時に読んで面白くて2巻を楽しみしていたら出なくなって諦めていたこの作品がまさか完全版で読めるとは、徳間書店には感謝感謝の気持ちしかありませんありがとうございます。
という訳で最後まで読めたぞライコネン! 学校に住み着き熱帯魚を飼っている魔女のライコネン先輩と、瀬古原君、そして彼の周りの人や大魔女との交流を描いたラブコメ? な作品。基本的には文化系部活ものなのだと思いますが、ヒロインが魔女だったり、その魔女が幼女(元エンゼルフィッシュ)と主人公をくっつけようとしたりするのでちょっと変な話です。ドタバタやお色気も結構あるのにどこか派手にならずにダウナーな感じが抜けない、テンポは良いのに速くは感じないような、ちょっと不思議な心地よさがあってとても好み。集まってくる奴らがみんなして不器用というか対人関係に難があるのばかりで、そのコミュ不全っぽさが読んでいて落ち着く、のかも。
ラストにかけての展開は、急いで畳んだ感じが否めないというか、もっと描けることはいっぱいあっただろうし、もっと読んでいたかったかなと思わなくもないのですが、何はともあれこのお話を最後まで読めたことが良かったとは思います。捨てられなかった縁、王道、魔女と人間の恋、良いじゃないですか。あと、大魔女で性格も悪いわけじゃないのに人生めっちゃ損してそうな残念系ロウヒさんがそれでも前向きに生きていてくれているのが良かったなあと!