東京レイヴンズ 10 / あざの耕平

夜光として覚醒した春虎、そして土御門親御たちと夏目、大友先生に道満、冬児に京子や天海とそれぞれに身を隠した状態で、陰陽術関連の法律が改正され、『倉橋』の計画が進んでいくという状況から始まる第二部。新キャラクターである秋乃は陰陽庁の管理から外れた世界に生きる術師たちが集まる闇寺に身を寄せる兎の生成りで、そこに北斗と名乗る少女がやってくるという話です。
レイヴンズの第一部は正直最初の方はそれほど面白いとは思わなかったのに、6巻で一気に世界がひらけて、7巻から先はもうフルスロットルに面白くなった感じでした。それが第2部は最初の巻からそのフルスロットルの状態で始まっていてちょっとこれいったいどこまで行っちゃうのと。夜中に読み始めたのに思わず最後まで一気読みでした。止めるところなんてどこにもなかった。
闇寺という存在から浮かび上がる陰陽庁というもののあり方。新たな十二神将たちのキャラクター。夏目の置かれた状態とその覚悟。そしてアキバのラムちゃん何危ない術教えてるのと言ったところでバトルも盛り上がり、まだその目的の見えない春虎の動向とその変わった部分と変わらない部分にどきどきして、そして最後の最後に仕掛けられたとんでもないジョーカーに驚かされるという。美味しい楽しい素晴らしい。
このシリーズは、最初の頃から沢山の伏線を張ってきたというか、ひたすらカードを伏せていってそれを様々に組み合わせたり、伏せた時には思いもよらなかったような意味が見えてきてたりしつつオープンにすることで後半からの盛り上がりにつなげていたように感じます。そしてさすがに二部ともなると伏せられたカードが多く、しかもそれをファン的に嬉しい、しかも意外なところで繰り出してくるのでたまりません。ああ、あれはあんな意味があったのか、1枚だと思っていた伏せカードは実は2枚だったのかと。
そしてもうこれだけの情報が仕込まれて、なおも仕込まれ続けている今に至って、読者は完全に作者に「気付かないのか? お前の負けだ」と宣告されたバトル漫画でよくあるシーンのような状況ではあるので、あとはこれがどんな素晴らしい手際で料理されるかをひたすらに待ち続けるしか無いのだろうなあと思います。ここまで次元が違うと、もう抜群に面白いとしか。