Wizard's Soul 1 / 秋★枝

カードゲームが世界的に人気のスポーツであり、その強さが人気やお金、そしてモテることにもつながってくるような世界で、今一人の少女が立ち上がる!! であらすじは間違っていないのですが、王道のようでちょっと外れているのがこの作品。
秋★枝作品らしくもどかしくにやにやさせるような恋愛もあって、でも話の中心にはTCGがあって、そして少女がその大会を目指す理由はどシリアスというか、父親がカード詐欺で作った借金返済のため、そして彼女の強さは死の淵にある母親に叩きこまれたものという、若干引くレベルに壮絶なものであって。そんな感じに恋愛モノのような少年マンガのようなシリアスのような闇鍋感に溢れた作品なのですが、これはこれでしっかりバランスがとれているので面白いです。
そしてこの主人公であるまなかが素晴らしくて。母親の不在、妹達の存在、父親の作った借金と重たすぎるものを背負って歩み出す道は、TCGがテーマの作品なのでもちろんカードなのですが、そこでの戦い方のえげつなさ、容赦のなさっぷりがマジまなか様。恋した男の子から嫌われること覚悟でポイントを巻き上げ、大事なものを切り捨て背を向け泣きながら進む修羅の道とか、何この子かっこ良すぎるんですけどという。そしてその戦い方がパーミッションやコントロールという、相手の行動を縛ったりカウンターをとったりする嫌われるようなやりかたで、しかもそこに一切の容赦はないというのが素敵すぎます。私はTCG系はよく知らないのですが、こういう戦法があるのかと。
カードの腕一つで飛びこんだ世界。でもこんな身を切るようなやり方で進んでいく道の先にはきっと破滅しかなくって、それでも進むしか無いと決めてしまった以上止まることはできないだろうことも想像がついて。だからこそ、この先櫻井くんには是非頑張ってほしいなあと思います。この思いつめたまなかもすごく好きですが、それ以上に幸せになってほしいとも思うキャラクターなので。