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りゅうおうのおしごと! / 白鳥士郎

感想 ☆☆☆☆☆

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

ラノベで将棋ものとはまた難しいところにだとか、また小学生は最高だぜな作品なのかとか、余計なことを考えつつ読み始めた一冊だったのですが、読み始めたらそんなことはどこかに吹っ飛んでいました。もうシンプルにめっちゃ熱い、そしてとても面白いですこれ。
16歳にして竜王のタイトルを手にするも、その後は守りに入ったような将棋ばかりで負けっぱなしな九頭竜八一のもとに、弟子にしてくれと突然押しかけてきた小学生女子(9)の雛鶴あい。周囲の疑惑の目に包まれつつもなんやかんやあって彼女を内弟子にとった八一とあいの復活と成長の物語なのですが、まあストレートに熱いです。
ある意味身の丈に合わないタイトルを取れて萎縮したような状態で、弟子を取ることも最初は乗り気でなかった八一が弟子であるあいの真っ直ぐな将棋への想いと、弟子の前で負けられないという意識で立ち直っていく姿。類まれな才能をもった彼女を育てようと将棋の道を進むことに反対するあいの両親に向かっていく姿。そんな八一に憧れて家を飛び出し将棋の道に飛び込むあいの姿。関西を舞台にしたこともあるのか、全てに思いっきり浪花節のきいているこの感じ。お互いがお互いを成長させる若き師匠と弟子による二人三脚の成長物語が描かれていて大変に素晴らしかったです。
そしてまた棋士監修がついているだけあって将棋周りの描写もしっかりとしているようで、私は将棋に詳しくないのでわからないのですが、なるほどこういうものなのだと思わせるような細かい描写が随所に挟まれていて、それがまた彼ら彼女らの闘う姿をしっかりと地に足がついたものにしています。白鳥士郎らしくかなりぶっ飛んだキャラクターは出てくるのですが、それ以上に師匠との関係や連盟の空気感、対局の緊張感といったものが、誇張されているだろうとは思いつつもリアルで、この将棋界という場所で八一を始めとしたキャラクターたちは生きているのだとしっかり感じられるのが良かったです。だからこそ、この世界に飛び込んだあいの成長や未来に八一と一緒に読んでいる方も期待したくなるのだなあと。
あと個人的には「のうりん」の流石に下品がすぎるのでは……となるギャグ関連がちょっと苦手だったので、この作品ではその辺りが少し控えめになっていたのも良かったかなと。あのジャンキーさとシリアスさの間を両極端に振れるところは魅力といえば魅力だったのですが、私としてはこのくらいのバランスでやってもらえるとマイルドでちょうどいい感じなのかなと思います。
そんな感じで大変面白く、2巻にもとても期待したくなる一冊でした。気が早いかもしれませんが、映像でも映えるように思うので、是非アニメ化まで行って欲しいなあと思ったり。それか、これなら意外とドラマでも行けるのではないか、とか。