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超人幻想 神化三十六年 / 會川昇

感想 ☆☆☆☆

超人幻想 神化三六年 (ハヤカワ文庫JA)

超人幻想 神化三六年 (ハヤカワ文庫JA)

アニメの「コンクリート・レボルティオ」が、昭和趣向たっぷりでレトロなんだけれど新しい感じで楽しくて、ただそこで描かれる超人というものがどういうものなのかいまいちとしっくりとこなくて、それで何か分かればと手を出した前日譚。
本編は面白かったけれど結局よくわからなかったのですが、そのあたりはあとがきで誕生話が語られていたので納得。きっとこれは超人で何かをとか、昭和がどうしたとか、そういうものではなくて、テレビから超人たちの活躍が溢れていたあの頃、つまり昭和そのものを描き直しているだけなんだろうと。もう一つの昭和史といいつつも、昭和ってこういうものだったじゃないという主観から描かれた史実なのかなと思いました。ただその辺は、歴史改変が作品の要素として出てきているので、ここから色々あるのかもしれませんが。そしてしっくりこない原因が多分その原体験を私が共有できないから、というのも分かったのでその辺はもう深く考えないでとにかくこのお話を単純に楽しめば良いのだろうということも。
そんな感じで話としてはテレビ局で人形劇のディレクターをしている嘉津馬が、超人に関わる事件に巻き込まれる中で、死ぬかというところで時間が巻き戻るというタイムループもの。どうすれば悲劇を防げるのか、番組を続けるためにはといったところから、その影にある超人の謎、そして自分自身や超人を否定する父親と向き合う形になるというもの。いるのだけれど法律で隠された超人と言うものの存在、実際の昭和の出来事と、ちょっとそれと外れたもの。そんな世界の中で描かれる物語は先が読めない感じで面白かったです。
アニメとのリンクでは、共通して登場する兵馬というキャラクターの存在、そして触れられる神化四三年の大暴動と四八年の事件が大きく関わるところとなりそう。中でも時間を操り歴史を書き換えることについてこれだけ語られるとなると、その辺りが大きな仕掛けとして動いてくるのかなあという気もします。