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ダンガンロンパ十神 上 世界征服未遂常習犯 / 佐藤友哉

感想 ☆☆☆☆

色々と言いたいことはあるのですが、とりあえずこれだけは言わせて欲しいのですが、これ鏡家サーガじゃねえか!!
という訳で星海社じゃなかったらきっと存在し得なかっただろうなこれというノベライズ。……ノベライズ? は、ダンガンロンパ鏡家サーガのクロスオーバーです。ダンガンロンパしか触れていない人が手にとったらオリキャラの多いノベライズだなと思うかもしれませんが、そのキャラ佐藤友哉の別作品を読むと出てくる人たちなのであしからずという。ダンガンロンパ佐藤友哉がと聞いて『鏡姉妹の飛ぶ教室』みたいなノリになるのかなあと思ってたら、ノリだけじゃなくてキャラと設定まで出たよどうすんだよって。
のっけから本当に懐かしい、ああ佐藤友哉だなと思うもの全てがダンガンロンパというフィールドで展開されていくこの感覚。筆記される物語、作者、オリジン、ノベライズ、対読者で語られるメタ的な視点。世界観などついぞ気にすることないオタク的なフレーズのパッチワークのようなセリフ。露悪を重ね読者と世界を煽り嘲笑い唾を撒き散らすようでいて、どうしても捨てられないピュアさと切実さ。お前ふざけんなと言いたくなるようなトリックと解決編。
希望と絶望、才能と凡人を廻る物語は確かに佐藤友哉がこれまで描いてきたものであってその点はとてもマッチしていると思うのですが、十神サイドではない語り手の方を読んでいるとこれロンパが好きで読んだ人大丈夫かなとちょっと心配になります。まあ100人中99人が壁に投げ捨てる中で1人に突き刺されば勝ちなんだと、それは昔から変わらないので今の20歳前後にこういう形で佐藤友哉が届くならそれで良いんじゃないかとも思ったり。
ただこれ、非常にメタメタしい視点が入ってくる中で、どうにもあまりにも昔の佐藤友哉そのまますぎるのがちょっと気になります。この作品はダンガンロンパとしても鏡家サーガとしても正史ではないはずですし、なんだかダンガンロンパ鏡家サーガそれぞれのパロディを読んでいるような感じ。「ノベライズ」であることを強調していることも含めて、この辺り何か少し仕掛けがあるのではないかという邪推をしつつ、ひとまずいつものユヤタンであったと思いながら中巻を待ちたいと思います。ところで中巻のサブタイをどこかで見たようなと思っていたのですが、ネコソギラジカルのパロディでいいんですかねこれ。
話的には『青インク』と白夜様の関係が好きすぎて最高でした。『十神一族最大最悪の事件』をふたりきり生き延びた『超高校級の御曹司』と『超高校級の書記』。白夜様を観察し、描写し続ける彼女は自称通りに文章人形と呼ぶにはあまりに人間らしすぎて、その歪なほど純粋な白夜への崇拝、信仰、愛はたまらないものがあります。

白夜様は神様です。

この子が語り部であるかぎり、この先も絶対に面白いでしょうこれ。