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少年メイド1〜9 / 乙橘

感想 ☆☆☆☆☆ マンガ

少年メイド 1 (B's-LOG COMICS)

少年メイド 1 (B's-LOG COMICS)

かわいい、みんな良い子、やさしい世界。つまり尊い。
アニメを毎週尊い尊いと言いながら見ていたので、これは原作も読まねばとまとめ買いをしました。いやしかし原作も尊い。
本家から勘当されたシングルマザーの母と二人暮らしの少年、小宮千尋。貧乏ながらに幸せな生活を送っていたものの、無理な生活が祟ったのか母が急に倒れて、そのまま亡くなって……という重たい導入から始まる物語。幼くして天涯孤独の身となった千尋ですが、叔父である衣装デザイナーの鷹取円に引き取られることになり、始めは嫌がっていたものの、脳天気な母の働かざるもの食うべからずの遺言に従って、家事一切を引き受けることで家に住まうことに。ということで少年メイド爆誕(メイド衣装は円作)。
設定が設定だけに千尋が立ち直るまでに暗くなったり、本家との確執で重くなったりしそうなのですが、そこは匂わせつつも持ち前の前向きさで明るく描いていくのが良いのです。偏執的に掃除大好き家事万能な千尋の周りの人々も個性的で、人見知りで家事ダメダメだけどデザイナーとしては天才な円に、しっかり者で円の秘書である桂一郎。元円許嫁で桂一郎のことが好きな美耶子、クラスメイトの日野(めっちゃ良い奴)とその家族たち。円が衣装を作っているアイドルの有頂天ボーイズ。それぞれにアクが強い面々でありながら、とにかく徹底して悪人がいない。大人も子供も老若男女問わずかわいいですし、特に政宗くんや花ちゃんと言った子どもたちの邪気の無さったらこれが天使か。
世間からはちょっと外れていながらも、人の縁に恵まれて前を向いて何気ない日々を生きていく、この優しさ、温かさが、本当にこういうのに弱くてちょいちょい涙腺にくるものがありました。何でも自分でやろう、人に迷惑をかけてはいけないと思っていた千尋が少しずつ周りの人たちに頼っていく様子、排他的に生きてきた円が千尋を通じていろいろな人と関わりを持つ様子。そういう、家族ではなかった人たちに擬似家族的な絆が生まれて彼らが変わっていくという話にも本当に弱くて……。
お祖母ちゃんと円の関係だったり、まだまだ火種もあるお話ではありますが、ただこの子であればきっと良い未来が待っているんじゃないかと、そんなふうに思える作品です。