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バビロン2 ―死― / 野崎まど

基本的には起承転結の「承」に当たる、次の展開に向けた一冊だと思うのですが、息をつかせぬ展開でまあ面白いこと面白いこと。
明らかになった新域に関する陰謀と真実、域長となった齋開化の公布した自死の権利を認める「自殺法」、そして見え隠れする曲世愛という女の存在。怒涛の展開を見せた1巻を引き継いでの話は、正崎が齋と自殺法に立ち向かうような展開になるのですが、テーマになってくるのは「正義」と「悪」。それはつまり「自殺法」は悪なのか、齋開化は法で裁けるのかという話になっていく訳で。
他の野崎まど作品と同じように明確なテーマと超常的な女の存在で進んでいく物語ですが、本当に先が読めないまま猛スピードで進んでいき、そしてそれが面白いというのが凄いです。どんでん返しでも、突っ込みどころのある斜め上な展開でもなく、正崎たちが足と頭を使って積み上げていく捜査の先に、当然のように予想がつかない展開が待ち受けている感覚。そしてその向こう側に、おそらくは全ての原因として存在する、曲世愛という女の存在。
自殺教唆の証拠すら残さなかった集団自殺、そもそも罪に問われるべきかの判断すらできない中で、新域構想の裏側にいた人たちと同じ陣営に属して、チームを作って齋開化の捜査にあたる正崎は果たして正しいのか。そしてそれでも齋を捕まえられない中で、彼が取った判断はどうなのか。何が正義で、何が悪いことなのか。
個人的には「少なくとも現在の法では罪に問えない」であったあの人が、ラストで「明確に罪に問える悪」となったことに何か大きな引っ掛けがあるのではという気が。そもそも、法を持って正義を語るような立脚点にいないだけかもしれませんが。そして正崎の妻と子は絶対無事では済まないポジションにいるように思えて先が怖い……。
あと、検察事務官として登場した瀬黒さんが非常に良いキャラでした。クールな美人でとにかく有能。最初は裏の新域構想に絡み、通常の操作から逸脱した動きを取る正崎を嫌っていたが、次第に信頼関係が生まれていくってなにそれ美味しいと思っていたのですが、まあそんなわざとらしいくらいのキャラクター、野崎まどがその通りに扱う訳無いですよねえ……。