スピリットサークル 6 / 水上悟志

1つの生を端にした、7つの生を廻る因果を絶つ、輪廻転生の物語。素晴らしかったです。
風太と鉱子の魂の因縁の始まりであるフルトゥナの物語が語られ、そして7つの生を重ねながら、物語はクライマックスへ。転生を繰り返しながら流れていく魂のイメージに、超越者や地球外生命体という高次の存在。ここまでに語られた世界を揺るがしたようなそれぞれの生さえ超えてくる、かなりスピリチュアルで大スケールな背景がある物語なのですが、そういう話がありながら全てはまさに今であり、これからどうするかの問題なのだと、風大と鉱子の物語はちゃんと重みのあるものとして描かれていて、それがすごく不思議な感覚でした。
この世界の誕生も滅亡も、少し因果をこじらせて行き詰った魂も、それはそれだけのことで、でもだからどうでもいいなんてことはない。大きな流れの中で転生を繰り返しながらも、全ては今に在る。悲しいことなんてない。ただ4人の幸せを願っただけだった、そして天才だったゆえに人の道を外したフルトゥナ。そんな彼を殺そうと誓ったコーコ。激動と激情の7つの生を経て辿り着いた、全てを飲み込んでどこか静かな境地は、とても心地よく感じるものでした。
あとは風太と鉱子とイーストとルンと周りの人たちが、どこかの輪廻で幸せに暮らしてくれればと。ラストシーンは本当にびっくりしましたけど、まあそうなるのがこの因果を断ち切ってもなお続く、魂の縁みたいなものなのかなあと思います。あ、でも今生については、ノノが可哀想なのでうーん。
ともあれ、とても良いものを読んだなと思うシリーズでした。全く違う話が順々に描かれていてとっつにくかったり、結構スピリチュアルだったりと人を選ぶような気がしなくもないですが、これは傑作だと思います。