やがて君になる 2 / 仲谷鳰

感想も何もこんなもの「とにかくヤバいから読んで」以外に言い様が無いでしょうと思いつつも。
1巻を読んだ時も大概にやばいやばいと思っていましたが、2巻もそれ以上にやばいやばいやばいみたいな1冊。本当に緩急、読者との間合いの取り方が巧いというか、まさに蝶のように舞い蜂のように刺すというか、さらさらと流れていた物語の中でポイントですごい切れ味のが飛んできて心臓によろしくないです。そこでそのセリフ……! その表情……!! という踏み込みの鋭さに変な声出そうに。しっかり気持ちを入れてからでないと向き合えないと長らく積んでいたのですが、気合とかそういうのは全部上から貫かれるので関係無いですねこれ。
しかしこの侑と橙子の関係。事情を知らない人から見れば完璧な生徒会長と地味な下級生。その実は、打っても響かない、真ん中がからっぽのスポンジみたいで、誰も特別には思わないと言いながら侑が優しさを振るうから橙子が振り回されている……みたいに思っていたのですが違うぞこれもっと凄いもつれてるぞというのがこの巻。先輩を特別に思いたいと思ってしまった彼女はきっと無自覚なだけでからっぽではなくて、自分でもつかめていないそれに振り回され始めていて。でも橙子の方は誰も特別にしない侑だからこその「好き」があって。ああ、その言葉でこの人は、まだ何も見つけていない彼女の目を塞ぐのかと。
1巻を読んで見えていないけれどきっともっと奥行きがあると思っていたものは、想定していたよりもっとずっと繊細に絡まった関係性として浮かび上がりつつあって、思わず言葉失いそうになる。そういう瞬間の緊張感に溢れていて、いや本当に凄い作品だなと思いました。9話、10話の流れとか、一撃必殺なのにラッシュで受けているみたいなオーバーキル感があってですね……。