アイドルマスターシンデレラガールズ WILD WIND GIRL 1 / バンダイナムコエンターテインメント・迫ミサキ

アイドルマスター月刊少年チャンピオンという異文化の大陸を暴走族アイドル向井拓海が橋渡しした鬼子みたいな作品なのですが、これがどうしてド王道を行く物語になっていて面白いです。ヤンキーとアイドルってもしかして非常に親和性が高いのでは。というか大体似たようなものなのでは。
時代錯誤な暴走族の特攻隊長をやっていた拓海が子猫絡みというまたベタなあれでひょんなことから関わることになったアイドルの世界。最初はアイドルの世界をヒラヒラチャラチャラした格好をして、変なことして笑いものになるような仕事だとバカにしていた拓海ですが、穴埋めで参加した最初の仕事でステージサイドから見たライブの熱量が忘れられず、プロデューサーの挑発にも血の気の多い性格からまんまとのっかり、そのままずるずると仕事をするような形に。ただ、それもどこか中途半端というか、同僚アイドルの仕事潰した分のケツ持ちだとかなんやかんや理由をつけていつでも手を抜けるような姿勢で。
けれど、同僚の藤本里奈の前向きな姿勢だったり、一緒に仕事した年少アイドル組のプロの仕事だったり、そういうものを見たところに、プロデューサーから逃げるのかと煽られ、走ることは楽しいけれどその先にやりたいことがあるわけでなかった拓海がアイドルとして天下とったると腹を決めるところまでがこの巻。まさに王道というか何というか。
どう見てもチンピラでクズなんだけど割とやるときゃやるっぽいPと、喧嘩っ早く血の気が多いアイドルの組み合わせは、顔を合わせば怒鳴りあうわ拓海の方がすぐに手を出すわでアイドルとはみたいな気分にもなりますが、これがまた中々いいコンビでそういう面でもこれからに期待。あと土方系ギャルアイドルというデレマス本当になんでもありだなの実例の1人な藤本里奈がこんなに良いキャラしていたのかとびっくりしました。もはやギャル言葉ですら無いあの口調でゆるゆるそうに見えて自分は頭悪いと言いながらも、自分のやりたいこと、そのために必要なこと、やられたくないことに対してしっかり芯があって裏表なく前向きっていうのはなかなか格好いいなと思いました。
そんな感じに、塩梅良くオラついた感じがとても読んでいて気持ち良いものがあるマンガでした。意外というか必然というか、なんやかんや生まれるべくして生まれた、みたいな感じ。これは次巻も楽しみです。