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りゅうおうのおしごと! 4 / 白鳥士郎

感想 ☆☆☆☆☆

りゅうおうのおしごと!4 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと!4 (GA文庫)

そうだ。みんな見てくれ。
寒気がするほど愛しい俺の弟子を。
魂が震えるほど熱い、俺の弟子を!!

いや本当にゾクゾクする熱さでした。
将棋が分かればもっと面白いだろうとは思うのですが、将棋の中身がわからなくてもやっぱり面白いこのシリーズ。それはやっぱりこの作品が、勝負の世界とそこに生きる人たちの物語であり、師弟愛の物語だからだと思います。
マイナビ女子オープンというプロアマ混合の最大の女流棋戦で、あいが天衣が、そして桂香がどう闘うのか。それぞれの物語がそれぞれに熱く、中でもやっぱりあいvs祭神の一戦が凄かったです。初めての大きな大会で存分に見せつけられてきた、この幼い才能がどれほどのものか。破格の才能を持つ異端者と対等に張り合う姿の凄み。いやなんというか、このシリーズを読んでいて初めてあいが怖いと思いました。そして明らかになる、彼女が何のためにそこまで勝負に徹して頑張ってきたのか。本当に勝負に熱く、人の繋がりで泣かせる物語だなあと思います。
それからそんな若く大きな才能とは対極にある、前の巻から続く桂香さんの最後のあがき。自分より実力のある人に当たり続けてボロボロで、この先の見通しなんかなくて、それでも降りる訳にはいかない。厳しい勝負の世界の土俵際で、かつての仲間の振り落としながらももがく姿もまた苦しくも熱いものがありました。
そして対戦相手になる他のキャラクターたちも、濃いけれどその生き様が印象的な人たちばかりで。特に、解説などでアイドル的な人気を誇る女流棋士である鹿路庭さんが、どうして研究会クラッシャーとまで言われるようになったのか、読んでいての想像を鮮やかに裏切られる天衣戦も良かったです。ああ、この人も才能と実力というものが残酷に存在する世界の中で、将棋に魅入られた勝負師なんだなあと。
そして、あいたちの物語を描くのであれば、その舞台となる女流棋士の世界に触れないわけにはいかず。それを語る女流名跡の『晒し者』という言葉が、女性への将棋普及のために設けられ、奨励会員やアマチュア強豪よりも弱いことがある女流棋士の立ち位置を示しながら、だからこそ持つべきプライドが語られ、それと相反する存在としての祭神にこれから羽ばたこうとしているあいが対局するというこのドラマがまた。
話が広がって主役級が増える分少し散らかった印象があったり、相変わらずコメディパートがロリコン竜王とJS研ネタに偏り過ぎじゃないかと思ったりもするのですが、そんなことはどうでも良くなるような熱い闘いを見せてくれた一冊。次の巻はついに八一の正念場。愛弟子のこんな姿を見せられて、無様な姿は見せられないだろうと期待しています。
それから、もちろん将棋と弟子が最優先なのはわかりつつも、八一はもう少し姉弟子に気を向けてあげた方が……。だんだん読んでいて可哀想になってきたんですが。