血翼王亡命譚3 / 新八角

1巻を読んだ時にはちょいちょい引っかかるところがあって、この設定でこのストーリーであればこんなものじゃなくてもっと面白くなるはずと思って、2巻になってそれがずっと良くなって、3巻に来たら凄いものに昇華してきたなあと。
400ページに本来2巻3巻かけるような内容をぎゅっと濃縮したこれでもかという密度の高さと、最初から最後まで落ちないテンション、ぶつかり合うキャラクターたちの痛いくらいの想いに、始まりの王にまで時空を超える大きな物語、けれどあくまでもこれは王の傍らに立つ者であるユウファという護武官の物語で。言血を始めとする独特の世界観の中で、国とは、人間とはという大きなテーマと、その中で語られるユウファという一人の人間の物語が1巻、2巻のストーリーも含めて一つにまとまっていくのが素晴らしかったです。
決してスマートではなくて、荒っぽい作品だとは思うのですが、ダイナミックな展開の魅力と共に、斬りつけるような感情の強さがあったと思います。そこにいるキャラクターたちに強さ、圧があるというか、説得力があった、みたいな。どのキャラクターも魅力的だったし、とても面白かったです。