1巻を読んだ時もこれはとても好きだと思って、でも感想を書こうとすると言葉が浮かばないという感じで、それはこの2巻を読み終わった時にも同じではあったのです。ただ気がついたことがあって、それは私はこのシリーズをとても綺麗だと感じているんだなと。設定がとか、ストーリーがとか、それはもちろんあるのですが、ただそれを全部包含した上で、もっと直接的に感じる魅力として、綺麗だなと。硝子細工だとか、万華鏡だとか、そういうものを見た時のような、この表紙イラストがまさにと思うような。
それは大正の時代、帝都を舞台に少し幻想的な空気のある世界観であったり、あるいは文章からくるものであったりするのだとは思いますが、一番それを際立たせているのは、やっぱり「箱娘」と呼ばれる少女の存在だと思います。
秘密も、密室も、人の記憶も、人の想いも、全ては箱の中。閉じるべきか開くべきか、何が正しいことなのか。その箱を開くことも閉じることも意のままな、どこか超越したものを感じさせる彼女。その力は真実を解き明かすこととさえ別のもので、それ故に彼女が纏うのは人とは異なる雰囲気。
最初は、彼女が結界とも言える屋敷の中にいるからこそのものだとも思ったのですが、たとえ外に出てきても、そこに現れた瞬間に場が凛とする、空気の色が変わる感じがあって、ああ彼女こそがこの作品なのだなと思いました。そりゃあタイトルにもなっているのだから、当たり前かもしれませんが。